乳児ボツリヌス症とは?
乳児ボツリヌス症は、1歳未満の乳児が菌の芽胞を摂取することにより、腸管内でボツリヌス菌が増え、産生された毒素の作用によって発症します。赤ちゃんはおとなに比べて、消化機能が未熟だったり腸内細菌叢が確立していないことも、乳児ボツリヌス症を発症してしまう要因といえます。乳児ボツリヌス症は、発症までの潜伏期間が3~30日と長く、症状は、数日続く便秘、全身の筋力低下、哺乳力の低下などが挙げられます。
そして、国立感染症研究所によると、日本では1986年に千葉県で発生した事例が最初の報告で、2012年5月現在で、31症例が報告されています。1980年代に発生した12症例はハチミツを摂取したことが原因だったと考えられていて、1987年10月には、当時の厚生省(現 厚生労働省)から「1歳未満の乳児にはハチミ ツを与えないように」という指導が出されています。
ハチミツすべてにボツリヌス菌が含まれているというわけではないですが、因果関係が明確になっている以上、注意しないといけませんね。
※参考:ニュース(医療)「ボツリヌス菌」について知っておきたいこと〈 https://baby-calendar.jp/smilenews/detail/4509 〉【監修:助産師REIKO】
ハチミツのほかに乳児ボツリヌス症の原因となる可能性のある食材
●黒糖
黒砂糖は精製工程が少ないため、ボツリヌス菌が含まれている可能性があるとされていますベビーカレンダー離乳食あんしん基準においては、黒糖はNGとしています。砂糖の製造方法はいくつかありますが、原材料名に「原料糖」と表示されているものは、原料を結晶化させて作られています。この工程を経た砂糖は、ボツリヌス菌は排除されています。黒糖でも、「加工黒糖」と表示されているものは、原料を結晶化させて作られているため、ボツリヌス菌の混入はないと考えられています。「黒糖」のみ表示のものは、さとうきびを煮詰めて作られるもので、結晶化の工程を経ていないため、ボツリヌス菌の混入の可能性がゼロではありません。
●三温糖やブラウンシュガーなども控えたほうがよい?
三温糖は、グラニュー糖や上白糖を製造するときに煎糖(せんとう / 糖液を煮詰めていって水分をとばし、糖を結晶化させること)した後の蜜が材料です。上白糖にカラメル色素で色づけしたものを三温糖として販売している場合もあります。いずれも結晶化の工程を経たものなので、ボツリヌス菌は排除されています。黒糖と同様、「原料糖」表示のない砂糖(一部のブラウンシュガーなど)は 、ボツリヌス菌が含まれている可能性があります。
上白糖は精製されているため、ボツリヌス菌は排除しているとされますが、ボツリヌス菌感染の危険以前に、1歳未満の赤ちゃんに砂糖類を積極的に使用することは、おすすめできません。食材の自然な甘味を上手に利用することをおすすめします。(※砂糖の定義や製造方法 取材協力:日新製糖株式会社 お客様相談室)
※参考:ニュース (食・レシピ) 赤ちゃんに食べさせてはいけない食材〈 https://baby-calendar.jp/smilenews/detail/4518 〉
赤ちゃんにハチミツがダメな理由、ご理解いただけましたでしょうか? まさか、一般的に体にいいとされているハチミツが、こわ〜い病気の原因になる可能性があるとは…。意外と知らない人も多いようなので、もし周りにまだ知らない人がいたら、ぜひ教えてあげてくださいね。
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