『ある日突然妻がいなくなった』(ベストブック)、『「最高の離婚」のつくり方』(自由国民社)の著者で、離婚問題研究家の岡野あつこ先生に聞いた。
「夫婦の会話の少なさと離婚率は、比例しません。1日のうち、家でのんびりできるのはせいぜい3~4時間程度で、夫婦が向き合って話せる時間となると、20~30分あれば良いところですよね。ただ、その20~30分を大事にできない夫婦は離婚しやすいといえます」(岡野先生 以下同)
岡野先生によれば、夫婦の会話は多すぎても少なすぎてもダメだそう。会話が少なすぎるのは、すれ違いの原因にもなり、危険だというのはわかるけど、会話が多すぎる場合のリスクは?
「会話がすごく多い夫婦の場合は、もしかしたら一方的なトークになっている場合があります。たとえば、奥さんが、その日にあったことを全部とりとめなく話す場合、相手は我慢して聞いているかもしれない。あるいは、聞き流しているだけということもあります」
大切なのは会話時間ではなく、相手が関心を持って聞いているか、相手が関心を持てる内容を話すことだそう。
毎日忙しくて、向き合う時間がなかなか作れない夫婦も多いだろう。その場合は、「週末にゆっくり会話をする」「日ごろからメールをする」、あるいは、必ずしも会話でなく「一緒に食事をする」などでも良いという。
では、お互いの干渉はどの程度に留めるのがベター?
「干渉しないと浮気する夫婦もいるし、干渉しないことで長続きする夫婦もいますよね。しかも、それは個人差ではなく、『時期』によって違っていて良い。むしろ常に同じであってはいけないと思います」
たとえば、最初は干渉し合った夫婦が途中から放っておくようになったり、放任だった夫婦が途中から干渉するようになったりするのは、夫婦のあり方として健全だそう。
「夫婦もそれぞれ成長しますから、押したり引いたりする時期や、次のステップにいく時期も必要です。相手の考えや感じていることを理解したうえで、合わせたり、ときには喧嘩したりするのもアリですよ」
短くても少なくても良いから、「夫婦の会話」を大切にすること。お互いの感覚を理解するための材料が、会話には詰まっているのだ。
(田幸和歌子+ノオト)