“夜尿”はほとんどの場合が体の発達の問題
「実は、おねしょ(夜尿)の原因はひとつではなく、様々考えられます」というのは、児童青年精神科医の新井慎一先生。
夜寝ている間に無意識に排尿してしまう夜尿。幼児期は“おねしょ”といい、まだ発達途上にある生理的な現象と思われ心配ありませんが、小学校以降も続いてしまう場合は“夜尿症”の可能性が高いそう。
「ほとんどの小学生以降の夜尿の場合は、その子の体の成長・発達の問題と言われています」(新井先生 以下同)
夜尿のおもな原因とは?
体の発達に伴う夜尿の原因はおもに次のようなものがあるそうです。
「ひとつは、おしっこを溜める膀胱の容量に原因がある場合です。もうひとつは、人が熟睡しているときに脳から分泌される“抗利尿ホルモン”という、おしっこを濃くして少なくするように作用するホルモンの出が悪いことで、量をコントロールできずに膀胱の容量をオーバーしてしまう場合などです。このように、夜尿症にもいろいろな原因があります」
一方で、やはり精神的な原因もありうるという新井先生。
「不安なできごとが重なったりすると、今まで夜尿がなかった人でも、急に夜尿症になるということがあります。そういう場合には、例えば“子どもがえり”が原因の場合や、なんらかの理由で日中に不安が強く、トイレに行く回数が増えるために膀胱が小さくなってしまう…というケースもありますね」
小さいころから夜尿が続いている場合は、体の問題の可能性が高く、急に起こるケースは精神的な原因の可能性が考えられるそう。いずれにしても続く場合は、専門医の先生に相談して原因や治療方針などの指導を受けたほうがいいようです。
我が子の夜尿にどう対処する?
夜尿に関してはとてもデリケートなことだけに、周りの人は特に注意を払って対応することが重要と先生は続けます。
「寝ている間に起こることですから、本人にはどうにもできません。なので、決して叱ったりしないでください。布団の後片づけも大変だったりするので、つい親御さんがイライラしてしまう気持ちもわかりますが、恥ずかしくて悔しくて、さらにどうにもできないのに責められるお子さんが、一番可哀想です。“こういうこともあるよ。大丈夫だから”という家族の理解がとても大切だと思います」
夜尿は恥ずかしいことのように思われがちですが、原因が明確になることでお子さんも救われるのではないでしょうか? 大切なのは、親が感情的になることなく、冷静に対処してあげることですね。
(構成・文/横田裕美子)