家庭での顔がその子のすべてではありません!
「親は、つい家庭で見ているお子さんがその子のすべてと思ってしまいがちですが、実は子どもは学校や塾、習い事など環境によって顔を使い分けている場合があるんです」と話すのは、児童青年精神科医の新井慎一先生。
「例えばチックの症状も置かれた環境によって出たり出なかったり、出方が違ったりするケースもあるのです。つまり、親御さんが見たお子さんのイメージだけでなく、お子さんが関わる環境の先生ときちんと連携をとって、いろんな人から見た自分の子というのを知っておいたほうが、より立体的な我が子が見えてくると思います」(新井先生 以下同)
気軽に相談できるかかりつけの先生との連携
最近は、ネット上に情報が溢れていることもあり、つい自分で調べた情報に振り回されてしまい、人知れず悩んだりするケースも多くなっているといいます。
「お子さんの異変に気付いたとき、いつでも気軽に相談できるかかりつけの先生がいるということは、とても心強いと思います。お母さんの思い込みなどだけで悩んだりしてしまうケースもあるので、気になることがあった場合はかかりつけの先生に相談して、その後の対応方針のアドバイスを聞くようにすることをおすすめします」
お母さんが元気でいることが大事!
そして、最後に新井先生から子育て中のお母さん方へ、日々のお子さんの環境づくりについてこんなメッセージをいただきました。
「小学校くらいまでは、お母さんが元気でいてくれることがとても大事なんです」
実は、新井先生のクリニックで親子関係の深さと子どもの愛情認識について調査したところ、“お母さんが元気でさえいてくれれば、子どもは自分が愛されていると感じやすい”という結果が出たそうです。
「お母さんが不安になってしまったり、落ち込んでしまうと、子どもも不安になってしまう。実は、お母さんの不安というのは子どもにうつりやすく、それを見た子どもが不安になると、それを見てまたお母さんが不安になるというように、共鳴し合ってしまうのです」
お母さんが太陽のような存在であることが、子どもの安心感につながるという。
「お母さんも人間ですから、もちろん不安になったり落ち込んだりするときもあると思いますが、どうかお子さんの前では“大丈夫よ! と、いつも元気に笑っていてあげてほしいんです。やっぱり子どもにとって、そういうお母さんが自分の後ろに控えていてくれるという安心感こそが、前に進めるパワーになりますからね」
ママが見守ってくれているから、子どもは安心して前に進める。そんな子どもの存在は、ママの元気の源。互いに支え合いながら、笑顔で歩んでいきたいものですね。
(構成・文/横田裕美子)