毒親に育てられると、子どもの成長にとってどんな影響があるのだろうか? 『子どもに何と言えばいいか、わからない時に読む本』(青春出版社)などの著書を持ち、教育カウンセラーで明治大学文学部教授の諸富祥彦先生は次のように説明する。
「毒親は、自分の想定したように子どもができないと『なんでそんなにグズなの!?』『あなたは本当に何やってもダメね』『あなたなんて生まれてこなければ良かった』などという暴言を吐いてしまう傾向があります。毎日こうしたことを言われて育つ子は、自己否定が強くなってしまうんです」(諸富先生 以下同)
諸富先生いわく、自己否定が強い子は、徐々に心のエネルギーが失われて無気力になり、心の回復力(レジリエンス)が低くなるそう。
しかも、自己否定が強いと、いつでも「自己内言語」で呪文のように「私はどうせダメ」「やってもどうせできない」と唱えるクセがついてしまうそう。
とはいえ、親としては、我が子に頑張ってほしい・うまくいってほしいと願うのは自然なこと。だからこそ、子どもに対する「激励」「応援」のつもりのことも多そうだが…。
「激励によってうまくいけば良いですが、うまくいかないこともありますよね。毒親の場合、子どもにプレッシャーを与えて追い詰めてしまい、逃げ場のない状態にしてしまいます。さらに、うまくいかないときには子どもを責めてしまい、『どうせダメ』だと思わせてしまう傾向があるのです」
確かに、母親は子どものいちばん近くで応援するからこそ、子どもが思い通りにならないとイライラしたり、落胆してしまったりすることはありそう。子どもは親の気持ちにとっても敏感なのだ。
「親は、愛情で良かれと思ってやっていても、子どもの受け止め方は違います。毒親の激励は、子どもにとっては精神的リンチになる危険性もあります。特訓と虐待は紙一重なのです」
子どもへの期待が、子どもを追い詰め、苦しめていないか、自らの育児を振り返ってみたいものだ。
(田幸和歌子+ノオト)