子どもの内面を伸ばす読み聞かせ術

子どもの内面を伸ばす読み聞かせ術

第1回 子どもが読書好きになる秘訣は?
子どもと本の初めての出合いは、親の読み聞かせからスタートすることが多い。絵本の読み聞かせが、子どもの内面の成長に好影響をもたらすともいわれているが…。具体的にはどんなメリットがあるの? また、上手な読み聞かせのコツはある?

「まず心理的な面では、読み聞かせは子どもに『心の安定』をもたらす効果があります。幼少期に人に愛された経験が、大人になってから心の安定に及ぼす影響は少なくありません。読み聞かせを通して親との信頼関係を多く積み重ねることにより、子どもは心の安定、さらには自己肯定の感覚を身につけることができるんです」

こう語るのは、NPO法人子育て学協会会長の山本直美さん。山本さんによると、読み聞かせの際に膝に乗せてもらう、親の声を近くで聞くなどのスキンシップを通じて、子どもは自分に愛される価値があることを実感できるのだそう。また、早期教育の面でも、読み聞かせの経験は大きな効果を発揮するという。

「絵本は、子どもが生まれながらに持つ様々な能力を効果的に引き出すツールになります。実は、絵本を多く読んでもらった子どもは、特に『想像力』『コミュニケーション力』『集中力』の3つの力が特に引き出される傾向があります。大人から見ても、成長を実感しやすいんです」(山本さん 以下同)

子どもの内面を伸ばす読み聞かせ術

では、子どもの内面の力をより引き出す絵本の選び方って?

「重要なのは、年齢に合った絵本を選んであげること。あとは、その子の興味のある対象が登場する物語がオススメですね。例えば男の子なら車とか、女の子ならウサギとか。また、長すぎる作品は避けましょう。3歳児の集中力は約15分といわれていますので、7分~15分程度で読み切れるものがいいですよ」

また、意外なのが読んであげる際の声の出し方。キャラクターを演じるように読み聞かせるのがいいと思いがちだが…。

「役者さんのように、キャラクターごとに完璧に声を変えられるならいいのですが、中途半端に声色を変えるのは逆効果。ちょっとしたミスに子どもはすぐに気づき、集中力が途切れます。読む声は一定でOK。自分なりに想像しながら、キャラクター設定をする楽しさを子どもにさせてあげましょう」

子どもにとって、巡り合ったお気に入りの一冊は生涯の宝物。何度も繰り返し読んでとせがまれた絵本は、できるだけたくさん読んであげるようにしよう。その一冊が、子どもの大切な個性を磨く手助けになるはずだ。
(波多野友子+ノオト)

お話をお聞きした人

山本直美
山本直美
NPO法人 子育て学協会

幼稚園教諭を経て95年、NPO法人子育て学協会の母体株式会社アイ・エス・シーを設立。保護者と子どものための教室『リトルパルズ』開設の他、リクルート社事業所内保育施設運営、キッザニアの日本初出店に際し安全管理・プログラムの監修・助言も行う。

幼稚園教諭を経て95年、NPO法人子育て学協会の母体株式会社アイ・エス・シーを設立。保護者と子どものための教室『リトルパルズ』開設の他、リクルート社事業所内保育施設運営、キッザニアの日本初出店に際し安全管理・プログラムの監修・助言も行う。

NPO法人 子育て学協会

08年法人認証。「子育てに関わる保護者や人の成長」と「豊かな心と言葉を持つ子どもたちの育成」の実現、「幼児期の子どもたちが心身ともに健康に育つために必要な、子育てに関わる人々の意識改革・成育環境の向上」をミッションとして活動している。

08年法人認証。「子育てに関わる保護者や人の成長」と「豊かな心と言葉を持つ子どもたちの育成」の実現、「幼児期の子どもたちが心身ともに健康に育つために必要な、子育てに関わる人々の意識改革・成育環境の向上」をミッションとして活動している。