●気をつけるべきは嘘の中身
子どもが嘘をついてしまうときの心理状況としては、おもに自己防衛本能が働いている、寂しさを感じているなどが多いのだとか。
「親が気にかけた方がいいのは、嘘をつくことよりも嘘の内容です。例えば、友だちを叩いてしまって先生に怒られたのに言わないとか、誰かに迷惑を掛けたことについて嘘の話をするというのは、反省していないのに、嘘をついてその場をやり過ごそうとしている状態です。これは、普段親が子どもにどんな姿をみせているか、ということに関係していることが多いです。ママがいつもイライラして、感情的に怒りがちだと子どものココロも安定せず、自分に矛先が向かないように取り繕うような嘘をついてしまうんです」(椎名さん、以下同)
まさに子は親の鏡。そのため、親自身のココロの問題を解決しないと、根本的な問題解決は難しいと椎名さん。ストレスを感じていて、子どもに当たってしまっているかもしれない…と感じたときにはカウンセリングなどで解決することもひとつの方法といいます。
「子育てに慣れているママなんてごくわずか。一生懸命子育てをしようと思えば思うほど、子どもに厳しく接してしまったりするものです。ただ、叱るのと怒るのとは別です。もし、子どもが原因ではないのに、子どもに怒りぶつけてしまったということがあったら、そこはちゃんと反省してフォローしましょう。『ママこんなことでイライラしていて、つい大きい声出しちゃった。ごめんね』などと素直に話してみてもいいかもしれません」
●嘘をつかなくていい環境作りも大切に
子どもが親につく嘘は、親に対して不信感や恐怖心を抱えていることも考えられる模様。また、悪いことを隠すための嘘だけでなく、親を心配させないようにしようとつく嘘も心配とのこと。
「小さい子どもでも『ママが今日は機嫌が悪い』とか『あんまり笑ってない』ということには敏感に気づくものです。そんなときに、なんでもないように装えば、『嘘をついているな』と子どもながらに感じてしまいます。そうすると、子どもも何か悲しいことがあっても、なんでもないように振る舞うようになるんですね。これは、大事な感情を偽って嘘をついていることになります。それは、将来的に親子関係に歪みが生じる原因にもなりえることです。そうならないためにも、いつも自然体で子どもに接することが必要なんです」
子どもが嘘をついたときには、そのこと事態を問題視して注意するのではなく、まずは子どもが嘘をつきたくなるような環境を作っていないか見直してみることが大切なようです。
(文・末吉陽子/やじろべえ)