そもそもモラハラとは?
モラハラの当事者は感覚がマヒして、「これはモラハラだ」と気が付かないことも多いですが、第三者から見ればはっきり「モラハラ」といえる状況に陥っていることもあります。
まずは、そもそもモラハラとはどのようなものを指すのかを確認していきましょう。
相手の心にダメージを与える言動
モラハラは「モラルハラスメント」を省略した言葉です。その名の通り、道徳や倫理などのモラルを欠いた嫌がらせのことを指し、相手の心にダメージを与えたり、尊厳を傷つけたりする言動のことをいいます。
相手を傷つける行為というと肉体的な暴力を連想しがちですが、モラハラはいわば精神的な暴力です。
モラハラのケースとしては、モラハラ夫とモラハラを受ける妻という図式が想像されやすいかもしれません。それ以外に、妻がモラハラをする場合や、職場の上司が部下に対してモラハラをしている場合もあります。
モラハラ男の特徴をチェック
「もしかしてモラハラ?」と疑問に感じても「これはモラハラだ!」と断定することは意外と難しいものです。一般的にどのような言動が見られたらモラハラだといえるのか、客観的な判断基準を持っておいた方がよいでしょう。
ここでは、モラハラ男に見られる行動として代表的なものをみっつ紹介します。
言葉で攻撃してくる
モラハラ男は、相手の尊厳を傷つける言葉を選んで攻撃してきます。例えば、妻がちょっとした失敗をしようものなら「なぜできない」「これくらいできるでしょう」などと強い言葉を与えてくるのです。
さらにエスカレートしてくると「俺がいないと、何もできないんだね」など、心に傷を負う強い言葉を用いてくる可能性も否定できません。
特に家庭内は周りの人から見られることが少ないため、誰かに言動を咎められることもほとんどないでしょう。そのため、言葉の暴力はどんどん激しく、ひどいものになっていく傾向があります。
威圧的な態度を取る
不満やイライラを威圧的な態度でアピールする点もモラハラ男の特徴といえます。自分の感情が抑えきれず、気に入らないことがあると周囲の目も気にせずに物にあたったり、口調が激しくなったりすることが多いようです。
家庭内でこのような態度を取られてしまうと、モラハラ男の威圧的な態度がトラウマになりかねません。日々、パートナーの機嫌を損ねないようにと、日常的に委縮した行動を取るようになってしまいます。
金銭的な自由を奪う
相手の経済的な自由を奪うことも、モラハラ男の特徴です。妻や彼女に対して、働いてお金を稼ぐことやお金の使い道を制限することも多々あります。
一方で、自分の稼ぐお金はすべて独り占めして生活費に入れなかったり、派手に買い物やギャンブルにつぎ込んで借金をつくったりと、自分本位なお金の使い方をするのです。
これは、パートナーから金銭的なゆとりを無くすことで、「自分に頼らざるを得ない状況」をつくることが目的だといえます。
モラハラ男になる原因
モラハラ男には、今の人格を形成することになった何らかの原因があります。何がモラハラ男を生み出すのか、背景に注目してみましょう。
自分に自信がない
モラハラ男は「自分が常に正しい」といわんばかりの振る舞いをしますが、その実、自分に自信がないという人が多い傾向です。
「自分が他の人より劣っているかもしれない」と考えているからこそ、他人を傷つけることで、自分の方が優れていると思い込もうとしているのかもしれませんね。
自己肯定感が低く、モラハラをしているときには優越感を得られるという負のループに陥り、やめられなくなってしまうのです。
ストレスが蓄積している
自分の感情を自分でコントロールできない人は、ストレス発散も苦手な傾向にあります。妻や家族など、周囲にいる親しい人にモラハラという形で八つ当たりをすることで、気分をスッキリさせようとします。
このとき、八つ当たりの対象に選んでいるのは身近な人のなかでも、自分が優位に立てて、逆らってこない弱い立場の人であることが多いでしょう。
モラハラのある環境で育った
家庭環境が原因でモラハラ男になるタイプもいます。例えば、父親が母親に対してモラハラをしている現場を見ていたり、自分自身がモラハラの被害者になっていたりという経験があるのです。
モラハラが日常化している家庭で育つと、いつしか感覚がマヒし、価値観が歪んできます。「きつい言動は愛情の証」「本人のためを思ってしつけをしているだけ」と、無意識にモラハラを肯定してしまうケースも考えられます。
この場合、自分がモラハラをしているという自覚はない可能性が高いでしょう。
モラハラ男の対処方法を知っておこう
モラハラ男から身を守るためには、モラハラ男に対する正しい対処方法を身に付ける必要があります。
「自分が我慢すればいい」といったネガティブな考えは捨て、現状を打開するために具体的な行動を起こしましょう。
まずはモラハラを自覚させる
まずやるべきことは、自分の言動が人を傷つけていることを自覚してもらうため、「モラハラである」事実をはっきり伝えることです。
モラハラ男のなかには、自分の言動がモラハラに該当していることに、気づいてすらいないことも多々あります。現実に向き合ってもらうためには、できるだけ具体的に会話することが効果的です。
モラハラ男のどのような言動がモラハラといえるのか、モラハラによって自分がどのような気持ちになったかを言いましょう。そして、今後はモラハラを止めて自制してほしいと忘れずに伝えます。
相手にしないで受け流そう
モラハラ男がモラハラをするのは、相手から何らかの反応を引き出して優越感を得たり、ストレスを発散させたりするためである場合もあります。
そのため、モラハラな言動に対して真正面から受け止めるのではなく、適度に受け流してしまうとよいでしょう。
モラハラで恐怖を擦りこまれていると、最初のうちは受け流すことも難しいものです。うまく受け流せなくても、心の中で「あまり気にしないでおこう」と思うことから始めてみるとよいでしょう。
「自分の思ったように相手をコントロールできない」ことを知れば、モラハラの頻度が下がる可能性もあるのです。
1人で悩まず周囲に相談しよう
モラハラを受けた場合には、1人で悩まずに実家や友人など、信頼できる人に相談しましょう。自分だけで何とかしようとしても、時間がたつほどストレスが蓄積したり、どんどん視野が狭くなったり、身動きが取れなくなります。
できるだけ状況を早く改善するためにも、積極的に協力者を求めましょう。
モラハラを受けていることを周囲に信じてもらえなさそうであれば、カウンセリングや医療機関など、冷静で客観的な判断が下せる第三者を探すのも手です。
まとめ
モラハラは言葉による暴力であり、許されるものではありません。モラハラをしている側は自覚しにくいものですが、言葉や態度によるダメージや金銭的な束縛があれば、客観的に見ても「モラハラ」といえるのです。
モラハラ男には、心理面や幼少期に置かれていた生活環境など、モラハラをするようになった原因があります。正しい対処方法を身に付けて、状況を改善するために行動しましょう。