和洋女子大学教授で「早寝早起き朝ごはん」全国協議会推進会員の鈴木みゆき医学博士に聞いた。
「まずは、起床時間や就寝時間、朝ごはんは食べたかなど、お子さんの一日の様子を書き出します。それを踏まえて、今の生活パターンで保育園・幼稚園や小学校での生活リズムと合っているかを考えていくと、何を改善すればいいかがわかってきます」(鈴木医学博士 以下同)
ここで気になるのが具体的な方法だ。生活リズムを整えるために何から始めればいいのだろうか?
「起きる時間のリセットから始めましょう。登園の1時間前が起きる目安なので、7時半頃までにカーテンを開けます。これなら、お母さんも無理なくできますよね。朝の光をまぶたが感じることで、脳のなかの“視交叉上核”(しこうさじょうかく)にも届き、体内時計がリセットします。陽射しが弱いときには蛍光灯でもいいですよ」
視交叉上核は、いわば体のあちこちにある体内時計を統括した部署。この時計がずれると、時差ボケのような状態になるという。
そして、子どもが目を覚まし始めたら、その接し方にもコツがあるという。
「小さなお子さんなら、ヨシヨシしながら“たて抱き”をするといいですよ。人間は背筋肉を伸ばすことで、目覚めのスイッチが入ります。次に五感を刺激します。例えば、窓を開けて外気にふれたり、朝ごはんのにおいを感じたり、親子で簡単リズム体操をしたりというのもいいですね。朝ごはんを食べるためにも、体を少し動かすといいですね」
早起きの習慣ができると、一日が気持ちよくスタートできるだけでなく、成長に良い影響がたくさんあるそう。
「目が朝の光を感じると、脳内には“心のバランス”を整えるセロトニンが分泌されます。昼間たくさん遊ぶことでもセロトニンは分泌されます。すると、夜にはメラトニンがたっぷり分泌されてぐっすりと眠ることができます。寝ている間には成長ホルモンも分泌されます。早寝早起きでたくさん遊ぶという生活リズムが整うと、体温やホルモンのリズムや心のバランスも整い、記憶力や集中力もアップします」
春から夏は朝の陽射しが強くなるので、生活リズムを整えるにはとても良い時期。早起きができた日は、カレンダーにシールを貼るといったことでも、子どものやる気がアップするだろう。
(川野ヒロミ+ノオト)