「“早寝早起き朝ごはん”が習慣になり、生活リズムが整うと、身体や脳を育てるために必要な脳内ホルモンがバランスよく分泌されるようになります。ぐっすりと眠れるので、昼間学んだことや覚えたことが睡眠中にしっかりと記憶されるし、朝はスッキリと起きられるから集中力も高くなります。朝ごはんを食べて、脳と身体に栄養補給すれば、午前中から活発に動くことができます」
こう教えてくれたのは、和洋女子大学教授で「早寝早起き朝ごはん」全国協議会推進会員の鈴木みゆき医学博士。
文部科学省の調査でも、朝食を毎日食べている子どもの方が、学力調査の平均正答率や体力合計点が高い傾向にあるという結果が出ている。では、生活リズムが整わないまま(規則正しい生活ができないまま)成長するとどのような影響があるのか?
「東京都教育委員会が発表した『都立高校中途退学者追跡調査』(2013年)で興味深い結果がでました。『どのようなことがあれば中途退学しなかったと思うか』という質問項目では、現在の状況(例:学校、フリーター、家事・育児など)に関わらず、『規則正しい生活ができること』が上位に入りました。規則正しい生活ができれば中退しなくてすんだと考える人が3分の1近くいるのです」(鈴木医学博士 以下同)
また、2000年に行われた日本小児保健協会の調査によれば、夜10時以降に寝る2歳児の割合は59%、3歳児では52%。当時、保育士の間でも子どもたちの生活習慣や生活リズムの乱れへの危機感があったそう。
「睡眠時間が遅く短くなると時差ボケのような状態になるため、子どもたちは日中にボーっとしがちで、パニック状態や攻撃的なるといった変化が起こります。当時2歳、3歳だった子どもたちが現在は高校生になっていることを踏まえ、文部科学省では中高生の生活リズム改善に力を入れています」
当時の結果を踏まえ、2006年からは文部科学省が「早寝早起き朝ごはん」運動を実施。2010年に改めて同調査を実施したところ、夜10時以降に寝る2歳児の割合は35%、3歳では31%に改善されたのだとか。
「お子さんの生活リズムが整えば、寝付きも寝起きも良くなるし、お母さんたちは自分の時間が増えます。親にとっても良いことがいっぱいです」
早寝早起き朝ごはんの習慣は子どもだけでなく、親にも様々なメリットがありそうだ。子どもの成長した姿を想像しながら、今日も一日頑張ろう!
(川野ヒロミ+ノオト)