「習い事や塾と違って、こちらから選ぶことが決してできないのが担任の先生です。新年度に発表になった瞬間から、大事な子どもを預ける存在であり、成長著しい子どもたちに多大なる影響を与える存在でもあります。公立小学校の場合には、全教科、しつけ、モラルまで教わります。しかし、残念ながら先生という職業がある限り、“あたり”“はずれ”があるのも宿命です。一生、“あたり先生”が続くことなんて不可能です。だからこそ、お子さんが楽しい学校生活を送るためにも、親御さんの捉え方、対処の仕方がとても重要なんです」
と、話すのは、『はずれ先生にあたったとき読む本』の著者・立石美津子さん。
担任の先生も実にいろいろです。新人、ベテラン、優しい先生、怖い先生、えこひいきする先生、甘やかす先生…。
「はずれ先生にあたってしまって、それを憂いていてもその現実は変えられません。転校という方法を選んだとしても、転校先で理想の先生に出会えるとも限りません。ならば、縁あって出会った担任の先生と親子共々うまく付き合っていけるように対処することこそが、親がすべきことではないでしょうか?」(立石さん 以下同)
親の捉え方は、子どもの捉え方にも影響を与えるので要注意だという。
「まず親が担任の先生への不信感や悪口を子どもの前で言ってしまうと、先生のことを好きだった子どもも、先生へ不信感を持ち好きではなくなってしまいます。それくらい親の影響は大きいのです。そうすると、先生は自分を嫌っている生徒の気持ちを感じとってしまい、関係はぎくしゃくしてしまいますね。お子さんが先生に可愛がってもらえるためにも、子どもの前での振る舞いにはくれぐれも気を付けてください」
さらに、親自身の対応は次のような点に気を付けてほしいと立石さん。
「もっとも忘れてはならないのは、あくまでも担任の先生は子どもの担任であるということです。何か気になる不満や不信感があっても、子どもが先生とうまくいっていれば問題ないので、見守るのもひとつです。どうしても改善してほしい部分がある場合は、親からの意見として伝えてください」
ただし、伝え方が何より重要だという。
「親の感情をぶつけてしまってスッキリしたところで、先生と日々接するのはお子さんなんです。感情的に文句を言ってきた親の子どもを可愛いと思えるでしょうか? “先生”というと、つい完璧でなければ…とこちらは求めてしまいがちですが、先生も人間です。先生との人間関係は、大人の人間関係だということ、そして、大切なわが子を預けているということを忘れてはいけません。こちらも先生の考え方や言い分に耳を傾け、いい人間関係を築いていってください」
担任の先生に不満をぶつけることが目的になってしまうのではなく、あくまでもわが子が楽しい学校生活を送れることが目的ということを忘れずに!
(構成・文/横田裕美子)