「よく、親御さんから、“どうしたら勉強好きになりますか?”と相談を受けますが、生まれつき勉強好きな子なんていません。では、勉強好きな子は、どうやって好きになったのでしょうか? それは、好きにさせてくれる環境が周りにあったからなんです」と、話すのは、『1日10分で大丈夫! 「自分から勉強する子」が育つお母さんの習慣』の著者・村上綾一先生。
子どもの学習意欲を引き出すためには、お母さんの役割は何よりも大きいという。
「勉強する気にさせるためには、いい意味での競争環境と勉強を習慣づける“しつけ”、そして勉強に飽きない取り組み方などの環境構築がとても大切なんです。そして、なかでも何より大切なのは、“できる!”という自信を与えてあげること。好きだから得意になっていくのではなく、得意だからどんどん好きになるんです。そう導くためのキーとなるのが、間違いなくお母さんです」(村上先生 以下同)
お母さんの言動の一つひとつが、子どもの原動力になると、村上先生は話します。
「お子さんにとって、お母さんは絶対の存在。“お母さんの喜ぶ顔が見たい!”“お母さんのために頑張る!”と、勉強を頑張る理由は突き詰めればこれに尽きます。お母さんに褒めてもらう>嬉しい>頑張る! これを繰り返すことで“知ることって楽しい”“勉強って面白い”と、子どもの意識を変化させていくのです」
ところが、お母さん方には子どものできないところばかりが目についてしまい、できていることを褒めることを忘れがちだという。
「お子さんが幼稚園に上がる前までのことを、思い出してください。初めて立った、初めて話した…と成長を日々喜び褒めていたあの頃。お子さんはどれほどの成長を遂げましたか? 今は、できていることは見えなくなってしまい、あれができない、これができないと、褒めることを忘れて目につくのはできないことばかり。無意識に学習意欲の芽を摘んでしまっているのです」
お母さんの考え方をちょっと変えるだけで、現状を変えられるという。
「勉強は子どもにとって辛いものなんです。勉強しないとき叱るのではなく、勉強しなくてもしょうがない、でもしたらスゴイ!って褒めてあげるくらいに気持ちを変えてみてください。子どもが一番喜ぶ方法は、何よりできたときに褒めてもらうこと、それしかありません。できていること、できるようになったことを素直に褒めて、喜んであげてください。そこで与えてもらった自信こそが、お子さんの学習意欲のベースになっていくのです」
勉強しない…と、わが子を嘆く前に、イヤイヤでも勉強と向き合った子どもを褒めてあげる。その瞬間こそが、お子さんが勉強好きになる第1歩になるかもしれません。
(構成・文/横田裕美子)