運動が得意になる9つの基本動作

運動が得意になる9つの基本動作

第4回 わが子の運動神経がどんどんよくなる子育て
“運動が得意になってほしい!”そう我が子に願う親御さんは少なくありません。子が幼いうちから特定のスポーツの習い事をさせて、安心してしまっていませんか? 実は、将来どんなスポーツにも対応できる運動能力を高めるためには、ひとつの競技に特化した動きではなく、幼児期に“基本動作”をしっかり身に付けることが近道だという。

「幼児期に、多種多様な動きを体験させたいですね。子どもの動作発達研究の権威・デビッド・L・ガラヒュー氏によると、 “基本動作”と呼ばれるその動きは84種あると言います。“立つ”“乗る”“歩く”など、日常生活に必要な動きもあれば、“投げる”“走る”“跳ぶ”“蹴る”など、運動に関係する動きもあります」と、話すのは、『“運動神経を育てる”子ども運動教室・リトルアスリートクラブ』の代表トレーナー、遠山健太さん。

「私が代表トレーナーを務める運動教室“リトルアスリートクラブ”では、84種の基本動作の中から子どもたちが将来、どんなスポーツも運動も得意になれるような“基本動作”を考えてみました。それが“蹴る” “走る・切り替かえる” “跳ぶ・着地する” “捕球する” “打つ”“ 投げる”“ボールをつく” “回る・ひねる” “バランスをとる” という9つの基本動作です」

運動が得意になる9つの基本動作

つまり、この“基本動作”さえ幼児期にきちんと身に付けていれば、いろんなスポーツをやる選択肢が増え、小学校体育の基本4種目である、なわとび、跳び箱、鉄棒、マット運動もラクにクリアできてしまう。まさにスポーツのABC的存在だという。

「現在、日本でもトップアスリートが誕生していますが、競技人口に対して海外で活躍する選手の割合の少なさは危機的状況だと言わざるをえません。つまり、総合的に“基本動作”を鍛えられていない選手が多いため、体の強さや他の技術面など、世界で活躍できるアスリートがまだまだ少ないのです。選手にケガが多いのも、総合的に鍛えていないことがひとつの要因と言えると思います。ベースとなる“基本動作”の習得が何より重要なことが、これらのことからもわかりますね」

海外では、小さいころからいろいろなスポーツを体験させ、スポーツを楽しむ環境が根付いているという。

「海外では、運動は楽しむものという認識が高いです。運動することが好きで、楽しんでいる、その延長上に例えばプロがあるという感じで、日本でよく見られるプロになるためにつらい練習に耐える…と言った考え方はないんです。ぜひ、日本の子どもたちにも、遊びや運動することをまず心から楽しんで、スポーツにも取り組んでいってほしいですね」

運動が好き、運動が楽しい! その先に夢の実現があるなら、こんなに素晴らしいことはないですね。
(構成・文/横田裕美子)

お話をうかがった人

遠山健太
遠山健太
リトルアスリートクラブ(代表トレーナー)
ワシントン州立大学教育学部初等教育学科卒。「リトルアスリートクラブ」の“運動神経を育てる”プログラムを学研とともに開発。また、小学生と幼稚園児の2児の父でもある。
ワシントン州立大学教育学部初等教育学科卒。「リトルアスリートクラブ」の“運動神経を育てる”プログラムを学研とともに開発。また、小学生と幼稚園児の2児の父でもある。

取材協力

リトルアスリートクラブ
リトルアスリートクラブ
学研とプロトレーナーが開発した子ども運動教室。そのプログラムは、“基本動作”(身体を自分の思い通りに動かすために必要な動作)を経験し、たくさんの刺激を与えてあげることで、”運動神経を育てる”ことを目指している。関東一円で展開中。
学研とプロトレーナーが開発した子ども運動教室。そのプログラムは、“基本動作”(身体を自分の思い通りに動かすために必要な動作)を経験し、たくさんの刺激を与えてあげることで、”運動神経を育てる”ことを目指している。関東一円で展開中。