幼児の英才教育は間違いだらけ!?早い教育は体も心もボロボロにする

幼児の英才教育は間違いだらけ!?早い教育は体も心もボロボロにする

第3回 わが子の運動神経がどんどんよくなる子育て
“運動は、早いうちからやったほうがいい!”“わが子をスポーツ選手にさせたい!”そんな動機で、幼児期から運動の英才教育に熱心になる親御さんも増えています。やはり、早い段階からひとつの競技に特化した英才教育は必要なのでしょうか?

『“運動神経を育てる”子ども運動教室・リトルアスリートクラブ』の代表トレーナー・遠山健太さんは、「幼い時期からひとつの競技だけに特化して、そればかりやらせるというのは、おすすめできませんね。幼児期に大切なのは、体の健全な発育を促して、運動神経を育ててあげることなんです。ひとつの競技だけでは、動きの種類が限られてしまい、運動として足りません」
と、話します。また、ひとつの競技ばかりさせることは、体へのリスクも覚悟しなければならないといいます。

「体操競技などのように、早い段階から専門的な指導を受けなければ世界に通用しない競技もありますが、多くの競技はそうではありません。例えば、小さい頃から“投げる”という同じ動作ばかり繰り返していたら、ひじや肩に負担がかかり、早いうちからケガやスポーツ障害を起こす可能性が出てきます。また、ゴルフや野球など左右非対称のスポーツの場合は、筋肉がアンバランスについてしまうリスクなども出てきてしまうのです」(遠山さん 以下同)

幼児の英才教育は間違いだらけ!?早い教育は体も心もボロボロにする

さらに、リスクはメンタル面にも影響を及ぼす可能性も。

「英才教育の弊害としてよく言われているのは、“燃え尽き症候群”です。あまりにも早い段階からやらせすぎてしまうと、だいたい高校生くらいで燃え尽きてしまうんですね。あとは、英才教育の現場というのは、ひとにぎりの成功者がいる一方で、多くの落第者もいるのが現実です。まだまだ可能性のある小さいころに、あまり“挫折感”を味わわせてスポーツの楽しさを奪ってしまうのは、好ましくありません。それよりも、小さいころは遊びやスポーツを楽しんでいろんな体験をさせておくことのほうが大切です」

では、具体的にはどのようにスポーツに取り組ませていけばいいのでしょうか?

「10歳頃まではスポーツを本気でやる必要はありません。特に幼児期は、公園遊びや親子遊び、習い事などを通して、多種多様な動き“基本動作”をしっかり身に付けさせることが何より大切です。神経系の発達が著しいこの時期になるべく数多くの動作を経験し回路を作っておく。それこそが、将来お子さんのスポーツの選択肢を広げるだけでなく、上手にできるようになるベースになるのです。本気で目指すのは、それからでも遅くはありません!」

本気でトップアスリートを目指したい人こそ、早期英才教育ではなく、幼児期の基礎が何より大切。”急がば回れ!”ということのようです。
(構成・文/横田裕美子)

お話をうかがった人

遠山健太
遠山健太
リトルアスリートクラブ(代表トレーナー)
ワシントン州立大学教育学部初等教育学科卒。「リトルアスリートクラブ」の“運動神経を育てる”プログラムを学研とともに開発。また、小学生と幼稚園児の2児の父でもある。
ワシントン州立大学教育学部初等教育学科卒。「リトルアスリートクラブ」の“運動神経を育てる”プログラムを学研とともに開発。また、小学生と幼稚園児の2児の父でもある。

取材協力

リトルアスリートクラブ
リトルアスリートクラブ
学研とプロトレーナーが開発した子ども運動教室。そのプログラムは、“基本動作”(身体を自分の思い通りに動かすために必要な動作)を経験し、たくさんの刺激を与えてあげることで、”運動神経を育てる”ことを目指している。関東一円で展開中。
学研とプロトレーナーが開発した子ども運動教室。そのプログラムは、“基本動作”(身体を自分の思い通りに動かすために必要な動作)を経験し、たくさんの刺激を与えてあげることで、”運動神経を育てる”ことを目指している。関東一円で展開中。