これまで多数のモラハラ相談を受けてきた、行政書士東京よつ葉法務オフィス心理カウンセリングルーム代表・佐藤千恵さんに聞いた。
「モラハラは、DV(ドメスティックバイオレンス)の一種です。DVには、配偶者などに対する身体的、精神的、性的、経済的など、すべての暴力が含まれます。そのなかで、肉体的暴力を伴わないものがモラハラです」(佐藤さん 以下同)
●モラハラは、不条理な人間性の否定
例えば、明らかに生活費には足りない金額を渡しつつ、足りないと言うと「おまえのやりくりが悪い」と責め、そこから人格攻撃にまで発展する行為がモラハラにあたる。
ただし、モラハラとして受ける相談のなかでも、よく話を聞いていくと、小突かれたり、押し倒されたりという肉体的暴力が重なり合っているケースは少なくないそう。
基本的には、夫婦同士が納得しているやりとり・関係性なら良いのだろうけど、問題視したほうが良いのは、どのあたりから?
「お互いの安全が確保されたうえで言いたいことを言い合っているなら良いですが、一方が他方を怖がって、言いたいことが言えない場合は要注意です」
「これを言うと、また何時間も説教される」「翌日まで無視される」「子どもにまで八つ当たりされる」といった不安や恐怖が先立つ夫婦関係であれば、1回誰かに相談するのがオススメだそう。
さらに難しいのは、自覚できていないケースも多いことだそう。
「ご本人がガマンしている、無理していることに気づかず、ある日突然、朝起きられなくなったり、何もする気がなくなったりといったケースもありました。心と体はつながっているので、心でガマンし続けていると、体が勝手にSOSを出してくれるんです」
モラハラ相談に来た人たちが訴える症状には、肩こり、頭痛、胃痛、便秘、下痢、生理不順など様々なものがあり、「ガマンして常に歯を食いしばっていることから、奥歯を痛めて顎痛になった」という事例まであるそう。
夫への恐怖から言いたいことが言えなくなっている女性は、一度身近な誰かに相談してみる、あるいは専門家のカウンセリングを受けてみては?
(田幸和歌子+ノオト)