●科学の本質を知る「サイエンス倶楽部」のハイレベル実験
教壇のほか実験台が4つならんだシンプルな作りの実験室は、さながら大学の理系学部にある研究室のよう。ここには幼児から中学生まで学年ごとに最大16名の生徒が集い、先生の指導のもと、月のテーマに沿った実験を行います。
では、具体的にはどんな実験が行われているのでしょうか?サイエンス倶楽部の広永雅史さんにお話を伺いました。
「とにかく、身近なものを科学の視点でとらえて、その不思議な現象を解き明かしていきます。たとえば、『空気には重さはあるのか?』や『磁石の力ってなんだろう』という観点から、そのものの本質に迫ります。早いうちから各分野を幅広く扱うことで、自分の興味関心がどの方向にあるのか見えてくるため、どんな学問を学びたいかという選択肢が広がり、将来どんな職業につきたいか気づきを得る子どももいるようです」(広永さん、以下同)
また、小学校2年生から中学生では、合宿形式の野外実習も行われるのだとか。実験室を飛び出してフィールドワークで生物観察や天体観測、化石採集など40テーマを実施。本物を体感することで、より身近に科学の世界を感じられるようになるそうです。
なお、中学になると大学の研究施設に行って実習をすることもあり、教授が生徒たちのレベルの高さに驚くことも多いとか。
●実験で得られる学びは親子のコミュニケーションにも好影響
1992年に開校した「サイエンス倶楽部」。その前身は、総合的な科目を教える塾だったそう。そのなかで、体験的に理科を学ぶ授業が人気になり、要望に応えるかたちでスタートさせたのだとか。
「近年、小学校をはじめ理科の実験も減ってきてしまいました。座学で知識は身についても、実践的な学習が不足しています。そこで、実験のプロセスを重視したプログラムを開発したところ、クチコミで広まって、今ではたくさんの理科好きなお子様に通っていただいています。ただ、通い初めてから理科だけではなく、明らかに学習全般に興味を持てるようになったという感想が多いようですね」
また、『自分から調べごとをするようになった』とか『楽しそうに実験の話をする』など、子どもに変化を感じる親からの声も多いのだそう。
「『今日学んだことを家族に話すことが、ただいまの挨拶かわりになっている』と言う話をよく聞きますが、物事の仕組みが分かった子どもは誰かに話したいという欲求が生まれます。たとえば、タンパク質の実験で豆腐は大豆からできているということは知っていても、なぜ固まるのか、加工後にも栄養素は分解されないのか、という仕組みは大人でも知らないことが多いです。その仕組みを体験的に学んだ子がお母さんに話したとき、『知らなかった!』『すごいね!』という反応があれば、子どもも嬉しくなって、もっと知りたいと思うもの。そうしたコミュニケーションも学習意欲を持続させる要因になるのではないでしょうか」
自然や生物など私たちの世界は科学で溢れている反面、実験によってその仕組みを理解するという体験は少なくなっています。学校では味わえない貴重な体験は、子どもの大きな財産になるかもしれません。
(文・末吉陽子/やじろべえ)
お話をうかがった人
TEL:0120-313-786
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