ドラマとは違うシングルマザーの本音

ドラマとは違うシングルマザーの本音

第1回 シングルマザーになる前に知っておきたいこと
4月から放送がスタートした『マザー・ゲーム~彼女たちの階級~』。シングルマザーのヒロインが逆境に立ち向かう姿を描いたストーリーが話題になっていますが、現実社会においても片親ならではの悩みを抱えている人は多いはずです。

そこで、知られざるシングルマザーの実情と、その本音に迫ってみたいと思います。

●支援団体代表が語るシングルマザーの現実とは?

シングルマザーにとって最大の不安といえば、やはり収入面。家計をひとりで支えるためにも安定した待遇で働きたいところですが、現状シングルマザーをとりまく雇用環境は厳しいものがあるようです。

「日本のシングルマザーの場合、多くが非正規雇用で仕事を掛け持ちしていらっしゃいます。正社員で働いている方や資格を持って独立している方もいますが少数派。皆さん子どもと生きていくためにも1日8時間以上働くなど必死なことがほとんどです」

こう指摘するのは、シングルマザーやシングルファザーの支援を行っているNPO法人リトルワンズの小山訓久さん。最近では正社員の時短勤務を導入するなど、育児に理解のある企業が増えているなどという話も聞かれますが、恵まれた環境で働けるのは、まだまだひと握りなのかもしれません。

「ドラマなどでは、こうした事実を極端に描いて、『シングルマザーはたくましい』というイメージを打ち出しがちですが、実際のところは不安を抱えながら育児と仕事をこなしていらっしゃいます。ドラマに出てくるシングルマザーと自分とのギャップを感じることもあるようです」(小山さん、以下同)

●ドラマとは違う? シングルマザーたちのリアルな本音

では、実際のママたちはどう思っているのでしょうか? シングルマザーたちの胸の内を聞いてみました。

「周りからどんな嫌味を言われても、ママ友仲間に性格の悪い人がいても、ドラマのヒロインみたいに反論や反発は絶対にしません。腹は立っても、ニコニコ笑ってやり過ごすようにしていますね。誰かを敵に回してしまっても守ってくれる人も愚痴れる夫もいないので」(T・Y 20代)

このように、シングルマザーならではの苦労があるのは事実のようです。ただ、一方で片親だからといって過剰に同情されたり、特別扱いされることを嫌う人も少なくないとか。

「ママ友から『大変ね』とか『かわいそうね』と同情されると、なんだかモヤモヤします。シングルマザーだから相当厳しい生活をしていると思われているのかもしれませんが、私の場合はそんなことはなく、普通の共働き子育て世帯と変わらない収入と生活なので、もしかしたらすごく誤解されているんじゃないかと心配になります…」(K・K 30代)

「シングルマザーは”強い女”みたいなイメージを持たれがちですよね。確かに、なんでも一人で決めなきゃいけないし、収入も自分の頑張りにかかっていますから、自然とたくましくなっているのかもしれません。だけど、ママになったら強くなるものですし、シングルマザーだけ特別ではないと思います」(Y・M 30代)

シングルマザー

「シングルマザーだからと先入観を持つと、お互いにギャップを感じるはずです」と小山さん。たとえ善意のつもりでも、周囲があまり気を遣いすぎると“逆差別”を生んでしまいかねません。それぞれの実情をふまえ、配慮すべきところは配慮しつつも、同じママ友として普通に接することが望ましいのかもしれません。

(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)

【取材協力】

NPO法人リトルワンズ
NPO法人リトルワンズ
都内を中心にシングルマザーと子供たちのサポートを行っている。ママたちからの信頼も厚く、講座やイベントは毎回好評。代表の小山訓久氏は、シングルマザー支援団体を作った日本初の男性。杉並区最大の親子カフェのオーナーも務めている。
都内を中心にシングルマザーと子供たちのサポートを行っている。ママたちからの信頼も厚く、講座やイベントは毎回好評。代表の小山訓久氏は、シングルマザー支援団体を作った日本初の男性。杉並区最大の親子カフェのオーナーも務めている。