シングル家庭、子の寂しさのカバー法

シングル家庭、子の寂しさのカバー法

第3回 シングルマザーになる前に知っておきたいこと
仕事や家事、育児を一手に担うシングルマザー。専業主婦のママたちに比べると、子どもと一緒に過ごす時間は、どうしても少なくなってしまうもの。子どもに寂しい想いをさせているのではないかと、不安に思うシングルマザーたちも少なくありません。

●子どもの寂しさをカバーするための工夫とは?

側にいてほしいときにママがいない寂しさは、小さい子どもにとって心の傷になってしまうこともあります。とはいえ仕事に家事に多忙なシングルマザーにとっては、子どもとの時間をつくりたくてもつくれない現実があるようです。

「子どもとの時間は、量も質も気になりますよね。一緒に過ごす時間が多いほど、成長後の子どもの言語能力が高まるという研究もあります。ただ、シングルマザーは子どもと過ごせる時間が1日1時間程度といわれています」

こう教えてくれたのはシングルマザーやシングルファザーの支援を行うNPO法人リトルワンズの小山訓久さん。時間がないなか、ママたちはどんな工夫をして、親子の時間を大切にしているのでしょうか?

「子どもと過ごす時間ができたら、その時間の主人公は子どもである、ということを意識するといいと思います。『自分がやっていることに対してママが興味関心を持ってくれている』ということがきちんと伝わると、子どもに良い影響があるそうです。よく親が子どもとの時間を仕切ってしまいがちなのですが、子どもが主人公であることを意識して、行動や発見に注目してあげると、お互いにとって良い時間になるのではないでしょうか」(小山さん、以下同)

シングルマザー

●周囲を巻き込み「みんなで子育て」

また、自分だけで子育てしようと気張り過ぎず、ときには心の荷を少し降ろしてみることも大切かもしれません。

「『子どもに寂しい想いをさせている』『子どもと向き合う時間がない』と自分を責めるのではなく、もっと子育てをオープンに考えてみるといいかもしれません。自分だけで子どもを育てるのではなく、地域や友人、サークルの仲間など、ほかの大人も巻き込んで子育てを一緒にしてもらうのです。たとえば、サークルで知り合ったシングルマザー同士でお互いの子どもを預け合うのも手です。これは実際の話ですが、近所にある個人経営のレストラン一家と仲良くなったママは、仕事が終わるまで子どもをお店で見てもらっています」

これはシングルマザーだけではなく、すべてのママにもいえること。周りに助けを求めながら、自分も手伝えることは手伝うというスタンスが大切なのかもしれません。

「一方的に預けるだけの間柄ではなく、自分の子どもを育ててくれる味方と思って、お付き合いしてみてください。こういう関係は、すぐには出来ませんし、お金では買えるものではないので、時間はかかると思います。ただ、家の外にも味方がいると思うと安心できますよね。子どもはいろんな大人から、多くのことを学べますし、ママと過ごす時間が少なくても、子育ての味方と温かい時間を体験してくれると思います」

子育ては一人ではなく、周りのチカラを借りながらするもの。そう考えるとママの気持ちもラクになり、結果的に「子どもと過ごす時間をより充実したものにしよう」という心の余裕につながるのではないでしょうか。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)

【取材協力】

NPO法人リトルワンズ
NPO法人リトルワンズ
都内を中心にシングルマザーと子供たちのサポートを行っている。ママたちからの信頼も厚く、講座やイベントは毎回好評。代表の小山訓久氏は、シングルマザー支援団体を作った日本初の男性。杉並区最大の親子カフェのオーナーも務めている。
都内を中心にシングルマザーと子供たちのサポートを行っている。ママたちからの信頼も厚く、講座やイベントは毎回好評。代表の小山訓久氏は、シングルマザー支援団体を作った日本初の男性。杉並区最大の親子カフェのオーナーも務めている。