男の子のしつけで注意すべきことについて、日本心理教育コンサルティング代表・櫻井勝彦先生に聞くと、「不適切な例えだと思われるかもしれませんが」と前置きし、次の説明をしてくれた。
「犬はしつけなければ何でもやりたい放題ですが、しつければ、お手もふせもできるようになります。でも、遊ぶときは元気いっぱいですよね。人間だって、何でも放任で良いわけではないし、しつけによって元気のない子になるわけではありません」(櫻井先生 以下同)
確かに、片付けができる、挨拶ができる、「ごめんね」「ありがとう」がきちんと言えるなど、「しつけ」が行き届いた子がおとなしすぎるわけではない。友達を傷つけたときにも「男の子は元気がいちばん」で済ませるのはNGだ。
●男の子のしつけ、むやみに厳しくは勘違い
ただ、「子どもは、怒らずにホメて育てる」ことが大切とよく言われるけど…。
「しつけの方法は、厳しく叱るだけではありません。例えば、挨拶ひとつとっても、厳しくしつける方法と、優しくしつける方法があります。『なんで挨拶できないの?』『挨拶しなさい!』と厳しくすれば、挨拶のできる子になりますが、それは『怒られたくない』という恐れの感情から行うようになるだけで、萎縮してしまいますよね」
逆に、「挨拶しようね」と優しく声をかけ、できたら褒めること。子どもの喜びの感情につなげていくと、子どもはすすんで自分から挨拶するようになるという。
「勉強も同じで、『勉強しなさい!』と厳しく言われたら、不快な感情と結びつき、勉強が嫌いになってしまいます。すると、勉強をする動機が恐れや不安になり、言われないとやらなくなってしまうのです」
では、厳しくしつける必要は基本的にない?
「厳しくすべきところは、例えば転んだときに手を貸さず、自分で立つのを待つとき。これは困難にぶち当たったときも同様で、ある程度大きくなってきたら、徐々に手を離していく厳しさは必要です」
男の子だって、野放しではなく、やっぱりしつけは必要。ただし、上から押さえつけるのではなく、本人のやる気と結びつくような声掛けを心がけたいものだ。
(田幸和歌子+ノオト)