「ひとくちに“緑茶”といっても、栽培方法、摘取時期、製造工程などの違いによって、さまざまな種類があります。主な緑茶には、以下のようなものがありますよ」(丹羽さん 以下同)
●新茶
その年の最初に生育した新芽を摘み採ってつくるお茶。「一番茶」とも呼ばれ、以降、摘み採った順番で「二番茶」、「三番茶」がある。宇治新茶は5月が旬で、爽やかな香りが特徴。また「二番茶」、「三番茶」に比べ、旨味が強い。
●抹茶
新芽に覆いをし、直射日光を避けて栽培した茶葉を蒸した後、揉まずに乾燥させる。これを碾茶(てんちゃ)と呼び、碾茶を茶臼で挽いたものが抹茶だ。
●玉露
新茶の新芽が伸びだした頃から茶園に覆いをかける。約20日間、ほぼ完全に日光を遮った状態で栽培した茶葉を「蒸す」「揉む」「乾燥」させたもの。渋味が少なく、旨味が豊かで濃厚な味わい。
●煎茶
自然光の下で栽培した茶葉を「蒸す」「揉む」「乾燥」させてつくる。爽やかな香りと、ほどよい旨味や渋味がある。
●かぶせ茶
茶摘み前7日前後から覆いをかけて栽培したお茶。煎茶の爽やかさと、玉露の旨味の両方の特徴を併せ持つ。
「茶葉は覆いをして日光を遮るとカテキン量が少なくなり渋みが弱くなります。その代わりに、旨味成分であるテアニンの含有比率が高くなるんです。こういう特性を活かして、味わいに違いがうまれるんですよ」
このほか、茶葉を炒った「ほうじ茶」や炒り玄米を混ぜた「玄米茶」などもある。
「同じ緑茶の茶葉でも色や味、香りはさまざまなので、ぜひ自分の好みのお茶を見つけてみてください」
立春から数えて八十八日目、八十八夜に摘んだ新茶は、長寿の薬になるともいわれている。いまが旬の時期、今日のティータイムはゆっくりと緑茶を淹れてみてはいかがだろう?
(パンチ広沢+ノオト)
福寿園
寛政2年創業、日本の茶文化を守り伝えてきた京都に拠する宇治茶の老舗。国内のみならず海外にも店舗がある。京都四条には、王朝文化の素晴らしい伝統の技を、茶という命題で結集した福寿園京都本店があり、地下1階から9階建ての各フロアでは、様々なテーマで宇治茶文化を体感できる。
寛政2年創業、日本の茶文化を守り伝えてきた京都に拠する宇治茶の老舗。国内のみならず海外にも店舗がある。京都四条には、王朝文化の素晴らしい伝統の技を、茶という命題で結集した福寿園京都本店があり、地下1階から9階建ての各フロアでは、様々なテーマで宇治茶文化を体感できる。