「親離れ、子離れのタイミングに“いつ・何歳”というマニュアルはありません。ただし一人っ子の場合、気をつけてほしいのは“子の親離れ”よりも“親の子離れ”のタイミングですね。これまでベッタリだったわが子がが離れていこうとしているとき、ついつい親のほうが追いかけてしまう。これが一番よくありません」
そう話すのは、教育評論家の親野智可等先生。逆に、子どもから離れようとするまでは、こちらから無理に突き離す必要はないそう。
「子どもが親から離れたがっているような態度をとってきたら、そのときが離れ時! そのときはお子さんの成長だと思ってグッと我慢して見守ってあげましょう」
親離れ、子離れのタイミングは子どもの成長具合に合わせることがとても重要だという。
「一人っ子でも小さい頃から独立独歩タイプの子もいるし、ベタベタ甘えるタイプの子もいるんです。つまり、親離れ・子離れのタイミングの答えは“子どものなかにある”ということを忘れてはいけません。わが子の成長具合をよく見て距離感をとってあげることが大事です。また、親離れしたと思っても、たまに“一緒に寝たい”など、甘えてくることもあります。何か不安な要素があったりするのかもしれません。そういうときは“もう兄ちゃん(お姉ちゃん)でしょ!”などと言って突きはなすのではなく、満足するまで気持ちを満たしてあげてください」(親野先生 以下同)
●一人っ子の思春期は、“過干渉”に要注意!
さらに、子育てで一番難しい“思春期”の一人っ子への接し方のポイントについて親野先生はこう話します。
「一人っ子の親御さんは、どうしてもわが子の言動がいちいち目についてしまい、過干渉になってしまいがちです。特に思春期は気を付けてください。お子さんの言動が気になっても、人間として許されないこと、人を傷つけること、危険なこと、反社会的なこと以外のたいていのことは、スルーすることです。つまり、つまらないことでとがめてバトルしないことですね。一人っ子は自分に親の目が集中するため、逃げ場がなくなってしまい苦しくなってしまいます」
一番重要なことは、わが子の言動や態度がどうであれ、“親としてすべきこと、言うべきこと”をきちんと果たすことだそう。
「基本的な挨拶、声かけ、すべきことはたとえ返答や反応がお子さんからなくてもしてください。“おはよう! 今日もいい天気ね”“ごはんできたわよ!”“頑張ってね!”など、お子さんは無視したり小声で“うぜっ”と言うかもしれません。それでもいいのです。実は“うぜっ”と言いながらも嬉しいものなんです。ところが、反応がないからといって挨拶や声かけをやめてしまう親が多いのです。あるいは、言うと嫌がられるからといって、人間として許されないことも見逃したりなど…。これだと、子どもは“自分のことなんてどうでもいいんだ。大切に思ってないんだ”と感じてしまうのです。理不尽でしょ?(笑)。でも、それが子どもなんです。そこをしっかり理解していい関係を築いていってくださいね!」
子どもにいかなる変化があっても、それは成長の証。一人っ子の立場と気持ちを何より尊重しうまく距離感をとりつつも、変わらない接し方を心がけることこそがいい親子関係を保つ秘訣のようです。
(構成・文/横田裕美子)