“台所育児”の方法と初めてのレシピ

“台所育児”の方法と初めてのレシピ

第3回 台所育児で子どもが劇的に変わる!
子どもが主役になり自ら料理することで、生きる力や自信が身につくと注目されている“台所育児”。

「“台所育児”は、子どもに料理を通して五感をフルに使った経験をさせ、自分で考え、自分で料理を完成させることで、自尊感情や大きな自信を育んであげることを目的としています。しかし、いきなり台所に招き入れた幼児に“一品作りなさい”なんてとても無理ですね。まずは、その前の準備段階が必要です」

そう話すのは、“台所育児”の提唱者で料理研究家の坂本廣子さん。そこで、たった一人で料理を作るまでの準備について伺いました。

「この料理は、“こんな切り方”“こんな煮方”と、おもちゃではなく本物の食材を普通に料理するときに子どもも一緒にします。“あなたはできないから、しなくていい”“できないはずだから手を持って料理させる”のではありません。“わぁ、こんなにいいニオイなんだ!”ポキッて野菜が折れたね!”など、いっぱいいっぱい感じさせて、あとでその体験が正しい記憶になるようにそれをきちんと言葉で伝えます」

“台所育児”で大事なポイントは次のこと。

「子どもが作業しているときは、親は手や口を出さない。ふざけたりしたら、いさぎよく切り上げること。場をはなれたら、とり上げるのではなく、“あとは、ママがしてしまっていい?”と、聞いてからにしてください。主人公は子どもであることを忘れずに!」

そして、いざ料理をはじめる前には、大切な約束ごとがあるそう。

“台所育児”の方法と初めてのレシピ

【おもなお約束】
・清潔にしてから始める。(手洗い、エプロン、三角布など)
・ちょうどいい高さで料理する。(踏み台を使ってもいい)
・熱い鍋にさわらない。
・火がついたか消えたかは、しっかり確認する。
・包丁を使うとき、刃の下に絶対に手をおかない。使っていないときは、刃を人のいない方に向けて置く。

●“台所育児”実践スタートのおすすめレシピ

では、いよいよ“台所育児”実践スタート! 坂本さんが初心者におすすめのレシピ“えのきのつくだに”を教えてくださいました。

“台所育児”の方法と初めてのレシピ

【作り方】
(1)えのきだけ(200g)は石づきを切りおとし、ひと口で食べられる大きさに切る。
(2)なべに(1)と、しょうゆ(大さじ1)、みりん(大さじ1)を入れてまぜ、中火でコトコト煮る。
♦ポイント♦
調味料として、ゆでた野菜や豆腐にかけてもおいしい。


「料理をはじめる前に料理の説明をひととおりして、気をつけてほしいことをしっかり伝えます。そして、子どもが料理をはじめたら、あとは黙って見守ります。思わず口も手も出したくなると思いますが、とにかく見守りましょう。これが“台所育児”で一番大事なポイントです。自信をつけさせるための育児ですから、手を出してしまえば“ボクは(私は)ダメなんだ…”と、思ってしまいます。失敗しそうだったときだけ、“そうだったかな?”と声かけする程度にしてください」

料理が無事に完成したら、一緒に食べます。そのときにも大事なポイントが。

「お子さんの作った料理がたとえおいしくなくても、一生懸命やりとげたことを褒めてあげてください。認められたら、また次もやりたいと思うものです。一人でできた達成感と褒められたことがお子さんの大きな自信になるのです。さらに、できれば最後の片づけ・洗い物までするのもいいでしょう。“台所育児”は、最初から最後までやりとげることが大事なんです。そして、“ありがとう、助かったわ”のひと言も忘れずに!」

子どもが一人で料理をするのを見守るママの忍耐も大変。でも、それがお子さんの明るい未来のためになるなら、親子で一緒に乗り切れそうですね! 
(構成・文/横田裕美子)

お話をうかがった人

坂本廣子
坂本廣子
料理研究家
幼児期からの食育を30年以上前から提唱。「台所 は社会の縮図」として、食育、介護、防災、食の村お こし、米粉普及など、広く問題解決に取り組む社会派 料理研究家。子どもの体感料理教室 キッズキッチン” が教育法として注目を集めている。
幼児期からの食育を30年以上前から提唱。「台所 は社会の縮図」として、食育、介護、防災、食の村お こし、米粉普及など、広く問題解決に取り組む社会派 料理研究家。子どもの体感料理教室 キッズキッチン” が教育法として注目を集めている。