●低学年の不登校はお母さんと離れる不安感から
「低学年による不登校の場合、大きな原因のひとつと考えられるのが、“母子分離不安”です」。そう話すのは、カウンセラーとして不登校の児童と家族をサポートする、不登校支援センター東京支部の中山智樹さん。あまり聞き慣れない、“母子分離不安”とはどんな状態なのでしょう。
「お母さんに心理的に依存してしまう状態です。子どもは成長過程で心の発達を経て、自然とお母さんがいなくても不安を感じなくなるものですが、小学校に通い始めてからも母子分離不安を抱えていると、お母さんがいないと学校に通えない、登校を拒むという行動につながります」(中山さん、以下同)
なかには、特別措置として、子どもが慣れるまで毎日お母さんが教室の後ろで見守ることもあるそう。
●お母さんの関心を引きたくて不登校に?
学校に行きたくないわけじゃない。けど、もし学校から帰ったらお母さんがいなくなっているんじゃないか、子どもはそんな不安から、学校に行きたがらないのだそう。
「お母さんと一度離れたら会えなくなるかもしれない、という不安を抱く子どもは少なくないですが、それがずっと続いてしまうことが問題。子どもが親子関係に不安を感じ、関心を引けているか確かめる行動に移る、そのひとつが不登校であることが多いのです」
ただし、原因が母子分離不安にあったとしても、子どもは別の理由をつけて学校に行きたがらないケースもあるため注意が必要とか。
「例えば、〇〇ちゃんが嫌いだからと言って学校に行きたがらないとします。これが、小学校高学年や中学生だったら、深刻ないじめも気になりますが、小学校低学年の場合は考えにくいです。また、体調が悪くて病院に行っても大きな病気ではなかった場合、これらのことは、学校に行かない『本当の理由』ではないことがほとんどです。そう言えばお母さんが気にして寄ってきてくれる、これがある意味不登校の目的だといえます。そのため、学校へ行ってしまえば普通に過ごせるのに、朝行きたくないと泣き叫ぶという子がほとんどですね」
子どもが不登校になった場合、まずは普段から子どもに不安を感じさせるような行動を取っていないか、親子関係を見直すことが大切なのかもしれません。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)