●親の理想の高さが不登校の引き金にも
これまで数々の子どもたちと向き合ってきた中山さん。不登校になりやすい子どもの特徴について、次のように語ります。
「とりわけ不登校になりやすい子は、真面目ゆえに理想が高く、頑固な面も持ちあわせています。また、自己評価が低い子が多いです。そういう子は、『テストで何点取らなきゃ行けない』『友達は何人以上いないといけない』というような理想を持っていて、それが上手く行かない場合、上手くいかない自分をさらけ出したくないと学校に行けなくなってしまうんです」中山さん、以下同)
じつは、その理想を押しつけているのは、親であるケースが多いのだそう。
「そういう子は、周囲からの発言の受け止め方も極端だったりします。例えば、お母さんから『勉強をしなさい』と言われるとします。普通、子どもがどう考えるかというと、『ちゃんと勉強しよう』、『うるさいな。関係ないじゃん』といったことが予想されますよね。ただ、なかには『勉強しないとお母さんに嫌われちゃう』と思う子もいます。そういう子は、親の『勉強をしてほしい』という理想を強要されていると、なかば強迫的に受け止めてしまうんです」
●親が気をつけるべきは評価の基準
そうしたタイプの子は、親の評価を気にしすぎてしまうあまり、思わぬ行動に出ることも。
「精神状態がいいときは、『勉強頑張ったね』と褒められるように行動するのですが、不安定になった場合は、親の関心さえ引ければ手段はどうでもよくなります。つまり、勉強を頑張るのではなく、頑張らないという逆の行動に移すようになるわけです。学校に行く・行かないも同じで、親に行きなさいと言われると、逆に行かないという行動にでる。子どもからすれば『親が自分のことを気にしてくれる』ということが、ゴールになってしまうのです」
このようなとき、親は子どもにどう接すればいいのでしょう?
「親と子どもの関係は密接であるがゆえに、さまざまな要求をお互いにするものですが、まずは結果だけを見るのをやめることです。テストの点数が悪いとき、なんで『勉強しなかったの?』と注意をすることによって、自分を否定されたと相当なストレスを感じる子どももいます。そうなれば、そのストレスの原因になる学校への足も遠のきます。なので、視点をちょっと変えて、『よくテストの結果を見せてくれたね』と、過程を評価してあげる。そうすることで、子どもは信頼されていると、徐々に安心感を持つようになります」
家庭で安心感を持てない子どもは、外に出ることに自信が持てず、不登校にもつながってしまいます。まずは、親が子どもの自尊心を傷つけないよう、接してあげることが大切なのかもしれません。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)