●“充電期間をつくろう”は危険!
「担任やスクールカウンセラーなどに相談すると、どうしても様子を見ようというケースが多いようです」と話すのは、不登校支援センターで不登校の児童のカウンセリングを担当する、中山智樹さん。
「不登校の場合、学校に行くための充電期間だといって様子を見守っていても状況は改善しないことがほとんどです。もちろん、様子を見守ることがすべて悪いとは思いませんが、家にいる時間が長すぎてしまうと、都合の悪いことから逃れられるだけに、そこから離れることが嫌になってしまいます。ただ、不登校になる子の多くは根が真面目なので、学校をさぼったりはできないので理由付けが必要になります。もちろんここに悪意はありません。学校に行かないことを指摘しすぎると、本当に頭がいたくなったり、起きられなくなったりといった、身体症状が出ることもあるのです」
やっかいなのは、そうした症状が出たときに病院にかかっても、根本的な解決策には至らない点だといいます。
「たとえば、身体症状が出た場合、心療内科に行ったとしても、頭が痛いなら頭痛薬を、眠れないなら睡眠薬を出すというように症状に応じた対処をしてもらえます。それは症状の改善にはなりますが、解決につながるかどうかは疑問です。親から『早く寝なさい』と言われていても、『学校に行きたくないので早く寝られなかった』「早く寝るつもりだったのに」と無意識のうちに言い訳にしてしまう子も多いです」
●不登校の相談、まずは適切なカウンセリングを
そうした子どもの複雑な心理状況を踏まえたうえで、周囲が効果的にアプローチしていくためには、子どもの現状を正しく理解することが大切だといいます。
「カウンセリングではまず不登校の原因がどこにあるのか、子どもの現状を正しく理解すること。子どもの性格なども見極めながら、どんな距離感で接するべきか探していきます。そのうえで、周囲が子どもにどこまで、どのように働き掛けるかラインづくりをしていきます。せっかく親御さんがお子さんのためを思ってアドバイスをしても、お子さんがその意図を理解できずに親子関係にまでズレが生じてしまうこともあります。小学校の低学年においては、その親子関係で起きているズレを解消するだけで行けることがほとんどです。親御さんとして、伝えたい気持ちがきちんと伝わるよう、関係性の構築が必要です。」
深刻な不登校を防ぐためにも、「学校に行きたがらずに駄々をこねる」「学校にいこうとすると体調が悪くなる」など、兆候があらわれはじめたら、すぐに専門家に相談することがベストかもしれません。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)