「親は、“使ったものは片づけてから、次のものを出して使う”ようにしつけたいと思っていると思います。でも、子どもが夢中になっておもちゃで遊んでいるときに、それを中断して無理矢理片づけさせるのは、実はせっかく脳が鍛えられるチャンスを妨げてしまうことになるんです」
そう話すのは、教育評論家の親野智可等先生。これは、児童心理学的にも脳科学的にも、証明されているという。
●子がおもちゃに夢中な時、脳は成長中!
「例えば、子どもが大好きなブロックに夢中になって遊んでいるとき、思考力、創造力など…脳はフル回転しています。まさに頭がよくなっていく真っ最中。しばらくして飽きてしまって“じゃあ、お絵かきしよう!”と、出しっぱなしで次に移ったとき脳は高速回転を続けたまま次にいけます。そうやって、出しっぱなしで何時間もフル回転の状態のまま楽しく遊ぶと、頭もスッキリ、気分も爽快。さらに、脳も鍛えられるのです」(親野先生 以下同)
夢中に遊んでいる途中にいちいち片付けさせることは、車に例えると、いちいちブレーキを踏むことと同じことだという。
「高速道路を高速度のままノンストップで走れば、気分爽快でしかも、はるか遠くまで行けますよね? でも、いちいち信号などでブレーキを踏んでいる道では、なかなか遠くまではいけません。それと同じ。せっかく夢中になって遊んでいるのに、“片付けなさい!”と中断されたら、脳の回転はいちいちシュルシュル…と減速して、またイチから回転させるということを繰り返すことになります。気分もスッキリしないうえに、脳の回転もいちいち妨げられてしまうのです」
●遊んだおもちゃは、“お片づけタイム”で一気に片づける!
とは言っても、“しつけ”としてやっぱりお片づけも大事! そこで、親野先生が効果的な方法を教えてくださいました。
「出しっぱなしでおもいっきり遊ばせる場合は、必ず“お片づけタイム”を作ってください。夕飯の前や寝る前などでいいと思います。そして、“いっぱい遊んだね~”“今日は何作ったの?”“よく考えたね~”など、遊んだことを褒めてやって“じゃあ、一気にお片づけしようか!”と言って片づけさせてください。これでいいんです」
ただし、ひとつだけ例外があるので注意してほしいそう。
「注意していただきたいのは、なかにはもともとお片づけが好きで、遊んだらその度に自分から進んで片づける子もいるんですね。こういう子の場合は、もちろん片づけさせてください。つまり、お片づけが楽しくて脳がフル回転してるわけですから、どうか“あなたの脳が鍛えられないからいちいち片づけちゃダメ”なんてことは間違っても言わないようにしてください!」
遊ぶときは徹底的に遊ばせ、片づけるときは片づける! けじめをつけることで、ぜひお子さんの脳をめいっぱい鍛えてあげてください。
(構成・文/横田裕美子)