「“やめグセがつく”なんていうことは、まったく気にする必要ありません。そもそも、“やめグセがつくからやめさせない”というのは本末転倒ですよね。お子さんの気持ちはどこへいってしまっているのでしょうか? 嫌々やっている習い事を無理に続けるのは子どもにとってつらいことです。なかなか進歩は難しいですし、嫌々な時期が長く続くことは精神衛生上もよくありません。こういったリスクがあることも考えに入れておけなければなりません」
そう話すのは、教育評論家の親野智可等先生。習い事選びというのは、それほど難しいという。
●やってみないとわからない、習い事と子の相性
「習い事というのは、一種の賭けなのです。始めた習い事が必ずその子に向いているかどうかなんてわかりませんね。お子さんが“やりたい!”と言ってはじめても、いざやってみたら“あれ?”っていうことってあります。それは、大人だってあることじゃないですか? つまり、やってみないとわからないものなのです」
それにもかかわらず、「あなたがやりたがって始めたのだから」「1年はやる約束でしょ!」と、無理に続けさせてしまう親御さんが多いそう。
「私は、やってみて子どもが楽しめない、好きじゃない、向いてないならばすっぱりやめて、どんどん違った習い事をやってみればいいと思います。実際に、10個も習い事をかえて11個目に本当にやりたい事に出会えた子もいますから。何個やめたとしても、次にぴったりはまるものにぶつかれば、親が“やめろ!”と言ってもやめません。”やめグセ”などというのは迷信に過ぎません」
●習い事をやめさせる場合は、見極めが重要!
ただし、習い事をやめさせる際もケース・バイ・ケースだと、親野先生は続けます。
「お子さんが“やめたい!”と言ったとき、ちょっとした心の迷いに過ぎなかったり、成長のために乗り越えなければならない壁にぶちあたる時期だったりということがありますね。こういう場合は、励ますなどして乗り越えさせた方がいいこともあります。乗り越えた後に、驚くほど伸びるということももちろんありますから」
習い事をやめるか、乗り越えさせて続けさせるかを的確に判断するためには、情報収集が何より重要だという。
「まずは、お子さんをよく観察すること、そして話をよく聞いてやることです。さらに、指導者や経験豊富なママ友に話しを聞くのもいいでしょう。それで無理とわかればどんどんやめればいいでしょう。間違っても“やめグセがつかないように”などという、そんな思い込みだけで判断しないようにしてください。子どもの人生は子どものものです。親の思い込みを優先せず、あくまでお子さんの主体性を大切にしてあげてください!」
何より大切なのは、お子さんの主体性。お子さんが心底楽しんで打ちこめる習い事に出会える環境づくりをしてあげることこそが、親の大切な役目のようです。
(構成・文/横田裕美子)