「最近、小学校の先生が口をそろえて言うのが『今の子どもたちは、手がかかります。20年くらい前の子どもたちに比べて2~3歳は幼い』と。保育園や幼稚園の先生も同じことを言うんです。しかも、幼いことは困ったものだ、けしからんと、否定的に語られるんですね。確かに幼くなっていると私も感じます。でも、子どもたちだけがなぜ“幼い”と責められるのだろうと私は思うのです」
社会全体に目を向けると、その理由が見えてくるという。
●最近の子に限らず世のなか全体が幼く
「子どもたちが幼くなったことには、平均寿命との関係もあるのです。寿命が年々長くなっているから、成長段階も全体的にゆったり長くなっているので当然なわけです。つまり、子どもだけでなく、大人だって昔に比べて若返って幼くなっているんです。結婚や出産の年齢も昔に比べて年々遅くなっていますね。最近では、美魔女ブームなどいうのもあって、コンテストのファイナリストに60歳の女の人が出場したということが話題になりました。大人もゆったりと年を重ねています。それなのに、なぜか大人が幼くなるのはいい事とされて、子どもはけしからんというのは、ちょっと子どもたちが可哀想だなと思うのです」
●お子さんの成長を長い目で見守ろう!
子どもが幼くなっている! 手がかかる! といいつつ、親たちがこぞって子どもを促成栽培しようとしている現代。
「親はみんな、子どもが小さいときから他の子よりも優秀であってほしいと願っています。それで、過度なしつけに走ったり、ムリに自立させようとしたり、知識を詰め込もうとしたりしています。その結果、うまくいかないからといって叱ることが増え、子どもは自信をなくし、親子関係も悪くなってしまっている家庭もたくさんあります」
“幼い”ことは決して悪いことではないと、親野先生は話します。
「長い人生、急ぐことはありません。子どもは子どもらしく、でいいと思います。もちろんなかには早熟な子もいれば、のんびりな子もいます。でも、子ども時代に優秀だからといって、将来大成するとは限りませんし、ピークが子どものころにきても人生つまらないじゃないですか? どうか、幼いということを否定するのではなく、幼い時期に大いに手をかけてやり、子どもたちが自信をもって自立できるように成長を長い目で見守ってやりましょう」
長いといっても子どもの時期は限られた時期。ゆったりした成長段階を嘆くのではなく、むしろじっくり楽しんで見守ってあげたいものですね。
(構成・文/横田裕美子)