「まずは、家庭の経済状況をクリアにしましょう。夫婦それぞれの収入や総資産の把握(不動産、株、自動車も含む)、家のローン残高などをあらためて算出することが大切です」
また、分与する財産のほかにも、行政書士や弁護士依頼費用、賃貸契約、引越し費用、当面の生活費などの資金がどれくらい必要なのか把握・準備しよう。子どもが未成年の場合の養育費や財産分与については、公正証書を作っておくと安心だ。夫婦で作成して公証役場へ提出する方法と、行政書士などに作成を委託する方法がある。熟年離婚に際して、年金受給も気になるポイントだ。
「2007年に年金分割制度がスタートしたことで、妻が専業主婦の場合、夫が納付した保険料の一部(最大で半分まで)を、妻が本人名義の年金として、直接受け取ることができるようになりました。手続きには年金分割のための情報提供書を作成する必要があるので、年金事務所に問い合わせてみましょう」
●熟年離婚は専門家の力も借りよう
年金分割について、気をつけたいのが下記の3点。
1)夫が定年退職後で年金を受給している場合でも、妻自身が年金受給可能な年齢(原則65歳)になるまでは受け取れない
2)分割の対象は厚生年金や共済年金の部分のみ。国民年金部分は対象外となる
3)分割した年金を受給するためには、25年以上の資格期間を満たしていることが条件。25年に満たない場合は、年金保険料の納付を続ける必要がある
離婚してみて「年金が受給できない」ということのないよう、不明な点は明らかにしておくことが重要だ。また、長年夫のDVや浮気がある場合や、夫が離婚に応じないときは、弁護士に相談することも視野に入れよう。相手の有責が認められた場合は、慰謝料を支払ってもらえる可能性もある。
「離婚交渉や法的手続きを有利に進めるためには、夫に離婚を切り出す前に専門家に相談することをおすすめします。まずは、自治体などの無料相談窓口に相談してみましょう」
離婚を決意したら、自分らしく生きるための再スタートのチャンスと前向きにとらえ、幸せへの第一歩を踏み出していこう。
(ノオト+北東由宇)