実母や義理の母からのこんな何気ないひと言に、カチンと来た経験があるママは多いはず。なかには育児干渉が嫁姑問題に発展して、離婚を考え始めるというケースも。
子育て経験者だけに口うるさくなりがちな祖母の干渉には、どう対応すべきか? 自身も両実家に助けてもらいながら2児を育てた、NPO法人孫育て・ニッポン理事長のぼうだあきこさんに聞いた。
「夫の母親、つまり姑は上手くいっているときはいいですが、気が合わない、ぎくしゃくしているかもと感じたら、会社の上司と思って付き合うといいですね(笑)。義理の親はあなたにとってはさほど利益がなくとも、子どもたちにとってはたくさん利益をもたらしてくれる存在。もしも、不慮の事故などでパパママの身に何かあったとき、その後の子どもたちの面倒を見てくれるのは、彼らかもしれない。生命保険会社がくれるのはお金だけです。そのリスクへの備えを考えたら、ある程度までの干渉は妥協して受け流すのが最善」(ぼうださん 以下同)
●育児干渉からケンカに発展するワケ
一方で、姑以上にイライラするのが実母からの干渉だという話もよく耳にする。義理の母には理性が働くものの、血がつながっている母が相手となると、遠慮がないためすぐケンカになってしまうそう。
「子育てで実の母親と衝突しがちなのは、実は自分自身が長女として育ったママが圧倒的に多いんです。ママたち向けに“祖父母とのつきあいかた”をテーマにした講座をすると、受講者の8割以上は自身が長女のママですよ」
彼女たちに共通するキーワードは“甘え下手”だとぼうださんは分析する。
「幼少期から『お姉ちゃんなんだから』と我慢させられてきた長女は、成長してからも甘え下手な女性が多い。 そういうママは大丈夫じゃなくてもつい大丈夫と言ってしまうし、他人に弱みを見せたがりません」
実母の遠慮ない干渉に過敏に反応し、きつい言葉で返してしまう、という長女タイプのママは多いという。
「実の母と娘って、心のこもった『ありがとう』を滅多に言わないんですよ(笑)。でも、ケンカしても3分後には笑っていられるのも血がつながった母娘だからこそ。母親に直接不満を言いづらいという人は、兄弟姉妹の口を通して母親に伝えてもらうのも有効です」
●祖母の育児干渉は七五三まで
だが母と義母、どちらが相手でも“干渉”はずっと続くわけではない。なぜなら祖父母と孫の関係性は変化していくからだ。
「祖父母と孫が密に付き合える期間は、せいぜい七五三まで。子どもが成長すると習い事も増えてくるし、小学生になると友だち同士の付き合いが大事になってきます。その段階までいけば、親がすべてを主導して矢面に立つ必要もありません。関係があまり上手くいっていない、わずらわしいと思うなら、子どものために小学生になるまで最低限のおつきあい、関係をキープしておけばいい。小学生になったら親がいなくても祖父母のところにお泊まりできる位を目標にするといいでしょう。そう考えると、ぐっと気が楽になりますよ」
ゴールが見えていれば、心に余裕も生まれてくる。母や義母の口うるさいひと言も、「干渉してくる元気があるうちが花」と思いながら受け流すのが賢い付き合い方だといえるだろう。
(阿部花恵+ノオト)