子連れ再婚が新しい家族を迎える心得

子連れ再婚が新しい家族を迎える心得

第4回 素敵なステップファミリーはどう築く?
子連れ再婚から生まれた「ステップファミリー」。新しい夫との間に子どもをもうけてもよいのか、悩む人は多い。子連れ再婚を支援するSAJ(Stepfamily Association of Japan)代表・緒倉珠巳さんに話を聞いた。

「赤ちゃんを迎えることについて悩んでいるステップファミリーの夫婦はたくさんいます。継親にとっても、特に初めて実子に恵まれたならば、実子に対して愛情をもつのは当然です。しかし、実子に向ける気持ちと継子に向ける気持ちの違いは明らかで、その現実に罪悪感を抱く継親も少なくありません」(緒倉さん 以下同)

結果、継親に対して「(継子を)実子と同じように愛して」と要望する実親も多い。これらの葛藤や不満は、そもそも血縁を重視したり、ステップファミリーに初婚家庭と同様の家族関係を期待したりすることによって生じる。

「“継親が実親になりかわる”という意識でステップファミリーを構築すると、赤ちゃんが生まれたときに問題が起こりやすくなります。継子は両親の離婚や死別で一度実親を失った状態。新たに継親との親子関係を持ったにもかかわらず、赤ちゃんに親たちの目を奪われ、子どもに何度も“親”を失うような悲しみや寂しさを体験させてしまうこともあります」

このような問題を回避するには、赤ちゃんを迎える前に、ステップファミリーとして無理のない家庭環境づくりが重要となる。子どもや継親・実親が抱く心配や不安に対して、互いがしっかりと向き合い、心のつながりの充実をはかる努力をしていこう。そのためには、“血縁のある家族”ではなく、一緒に信頼し合って生きていく“チーム”を育てていく、という意識が良好なステップファミリーをつくる地盤となる。

赤ちゃん

●血のつながり以上に信頼関係の構築が大切

「ステップファミリーで赤ちゃんが生まれることによって“家族の血縁がつながった”と考えることもできます。しかし、その夫婦や家族関係が良くなければ離別の可能性があることは、離婚経験のある人ならわかっているはずです。血縁関係があったとしても必ずしも“かすがい”にはならないのです」

その逆もしかりで、血縁はなくても、信頼関係と強い絆でつながり、ひとつの家族として共に道を歩んでいくことができる。

ステップファミリーで赤ちゃんを迎える自信がない人は、家庭の状況を振り返り、新しい家族を迎える準備ができているか夫や子どもと話し合ってみてはいかがだろうか。
(北東由宇+ノオト)

お話をお聞きした人

緒倉珠巳
緒倉珠巳
SAJ(ステップファミリー・アソシエーション・オブ・ジャパン=Stepfamily Association of Japan)
子連れ再婚を支援する団体・SAJ代表。専門家と連携し、ステップファミリーの調査研究や教育プログラムの開発、講演会や当事者のためのサポートグループなどを開催。
子連れ再婚を支援する団体・SAJ代表。専門家と連携し、ステップファミリーの調査研究や教育プログラムの開発、講演会や当事者のためのサポートグループなどを開催。