一般に裸眼視力は0.7より低いと眼鏡が必要とされるが、文部科学省が2015年1月に発表した「学校保健統計調査 平成26年度版」によると、中学生の裸眼視力0.7未満者の割合は41.72%。つまり、5人に2人の中学生は眼鏡が必要な状態だという結果が出た。1979年の調査開始以来、裸眼視力0.7未満者の推移は緩やかに上昇している。
近視の子どもたちが増えている原因は、一体なんなのだろう? テレビを近くで見るから? スマートフォン(以下、スマホ)やゲームのやりすぎ?
数多くの小児眼科疾患に対応している日本橋はま眼科クリニック院長・浜由起子先生に、子どもと視力の関係について聞いた。
「小学校入学前に近視になってしまう子の数は、明らかに増加している印象を受けます。親御さんに普段の生活について聞いてみると、『YouTubeをよく見ています』『3歳からiPadで遊んでいました』という子がすごく多いですね。子どもの近視の進行には、遺伝的要因はもちろん、環境要因が大きく影響していると思います」(浜先生 以下同)
●近視を招きやすくする要因は、目の緊張状態
上のイラストは目のピント調節の仕組みだ。私たちはものを見るとき、毛様体の筋肉が水晶体を引っ張ったり緩めたりすることでピントを調節している。近くを見るときは毛様体筋が収縮してピントを合わせるが、この緊張状態が続くと目の筋肉は疲れやすくなってしまう。
パソコンやスマホ、ゲームを長時間続ける行為は、毛様体の筋肉疲労を引き起こして、近視をさらに悪化させる要因になっているのだ。
「最近は3D映像で楽しめるゲーム機もありますが、実はあれもあまり目にはよくないのです。3D映像もテレビやパソコン画面のように目の筋肉に負担をかけます。そうなると、やはり近視が進んでしまいます」
●遠くの風景を見ることは目の緊張を和らげる
ちなみに、よく耳にする「星空や遠くの風景を見ると目がよくなる」という説は、「普段から近くを見ることが多い=毛様体に負担をかけている」人にとっては、目の緊張を和らげて近視の進行を抑える効果があるようだ。
スマホやタブレット、ゲーム、テレビなどを長時間見ることは、近視の進行を招き、ときには強度近視の原因にもなってしまう。子育て中のパパママはスマホやゲームとの付き合い方には十分気をつけていこう。
(阿部花恵+ノオト)