数多くの小児眼科疾患に対応している日本橋はま眼科クリニックの院長・浜由起子先生に、子どもと視力の関係について聞いた。
「一概に視力のせいばかりとは言えませんが、単純に『黒板の字が見えづらいから、集中力が続かない』という子どもは一定数います。そういう子は、度数の合った眼鏡をかけるだけできちんと集中できるようになります」(浜先生 以下同)
●視力の問題が勉強に及ぼす影響
子どもの集中力が低下してしまう背景には、視力の低下以外にもいくつかの要因がある。そのひとつとして、例えば斜視なども考えられるという。
「たとえば、『国語の教科書を読むのが苦手だけど、算数は得意』という子が、よくよく検査してみると斜視であることが判明したケースもあります。外斜視があると日本語のような縦書きの文章を読むのは苦手ですが、数式のような横書きを読むのは得意というパターンがあります。単純に目の見え方、使い方の問題だということに保護者の方はなかなか気づけないもの。もしも子どもの普段の行動で気になることがあるようでしたら、次のような症状がないか確かめてみてください」
●子供の気になる目の症状チェックリスト
□たまに目線がずれることがある
□片目をつぶったり、外に出るとまぶしがったりすることが多い
□まっすぐに走ることが苦手で、自然にどちらかに曲がってしまうことがある
□集中力がないと思う、他人から言われたことがある
□近くでの作業は嫌がることが多い、もしくは長続きしない
□本を読むときに行を飛ばすことや、同じ文章を繰り返す読むことがある
□マスの目の中にうまく字をおさめて書くことができない
□読書など、集中しているときに頭が揺れている
□算数の図形問題が苦手
□似たような漢字を混同することが多い
目が悪いことが原因で勉強が嫌いになってしまったり、周囲から“できない子”というレッテルを貼られたりしてしまうのは、その子自身にとってあまりに不幸なこと。上記のチェックリストのうち、ひとつでも当てはまることがあれば、早めに小児眼科で検査してもらおう。
(阿部花恵+ノオト)