母子健康手帳とは
母子健康手帳は一般的に「母子手帳」と略され、日本で妊娠・出産する女性が受け取れます。「名前は知っているものの、具体的にどう役立つのか分からない」という人は、母子手帳の基本をここで押さえておきましょう。
母子の健康状態を記録、管理するもの
母子手帳とは、「母子健康法」に基づいて自治体から交付される手帳のことです。同法第16条に「市町村は妊娠の届出をした者に対して、母子健康手帳を交付しなければならない。」と明記されています。
妊娠中から乳幼児期までの母子の健康状態を、手帳1冊にまとめて記録・管理できるアイテムです。予防接種や歯科健診、かかったことのある大きな病気も記録できるため、かかりつけ医に正確な情報を伝えられます。
ほか、「発育曲線」や「乳幼児の便の色の見極め方」など、ママが把握しておくと育児に役立つ情報が記載されているのも特徴です。
出典:・母子保健法(◆昭和40年08月18日法律第141号)
様々な支援やサービスを受けられる
母子手帳は、自治体による子育て支援サービスを受けるために必要です。「子育て支援センター」で妊娠中の不安や出産後の育児相談ができたり、保健師や助産師による妊娠中・出産後の「自宅訪問サービス」が受けられたりします。
妊娠中の女性とパートナー向けの「妊婦教室」への参加も可能です。さらに、母子手帳と一緒に渡される「妊婦健康診査受診票」があれば、妊娠中14回受診する「妊婦健診」で公費補助が受けられます。
いつ、どこでもらえるの?
母子手帳は自治体が交付しているもののため、手に入れるためには正式な手続きが必要です。受け取りに手間取らないように、「いつ」「どこで」母子手帳が手に入るのかをあらかじめ知っておきましょう。
母子手帳を申請するタイミングと場所、申請に必要なものを解説します。
心拍確認後、担当医に言われてから
母子手帳を受け取るタイミングは、担当医から指示されるものです。病院や担当医の方針、妊婦と赤ちゃんの健康状態によって異なりますが、たいていの場合は赤ちゃんの心拍が確認できる「妊娠5~6週目」ごろでしょう。
心拍確認後でも、胎嚢の大きさなどから「次回の健診で問題なければ」と、妊娠8~10週目にOKが出るということもあります。
なかには、「初期流産の時期を過ぎてから」と決めている病院や担当医もあり、11~12週の間にもらいに行ったケースもあるようです。
母子手帳を申請するとなれば、通院している病院から「妊娠届出書」を発行されます。母子手帳発行の際に必要な書類なので、提出するまでは大事に保管しておきましょう。
なお、居住地区によっては区役所や市役所など母子手帳交付受付窓口で渡され、その場で記入するところもあります。
役場窓口や保健センターで交付
母子手帳は、「住民票のある自治体の役場窓口」や「保健センター」で申請できます。里帰りなど居住地とは違う場所で出産する予定の場合は迷うかもしれませんが、間違えないように注意しましょう。
母子手帳交付の時点で、あわせて「保健師による面談」を必須としている自治体もあります。里帰りを予定している人は、その場で伝えると出産に関する手続きをどこですればよいか教えてくれるでしょう。
なお、自治体によっては、「支所」や「出張所」での母子手帳交付を行っているところもあります。自治体のHPをチェックし、自分の居住する自治体がどのような対応をしているか確認しておきましょう。
交付に必要なもの
母子手帳の交付には、免許証やマイナンバーカードなどの「身分証明書」と「印鑑」が必要です。なお、2016年の「母子保健法施行規則」によって、妊娠届にはマイナンバーの記入が必須となっています。
番号を控えておくか、マイナンバーカードまたは通知書を携帯するのがおすすめです。また、病院で妊娠届を受け取っている場合は、忘れずに持参しましょう。
妊娠届には、「受診している病院」と「出産予定日」の記入の欄があります。病院の連絡先などはあらかじめ控えておきましょう。里帰り出産で受け入れ先の病院が決まっているときは、そちらの所在地も用意しておくと安心です。
なお、母子手帳交付は、妊婦本人ではなく代理人が受け取ることもできます。代理人が交付に出向く場合は、「委任状」と「代理人の本人確認書類」「妊婦のマイナンバー確認書類」を持っていきましょう。
ママが気になる母子手帳の疑問
初めてママになる人にとっては、母子手帳もほとんど未知のものでしょう。母子手帳の大切さを知ったからこそ、使用期間や万が一紛失した場合の対応など疑問がわいてきたのではないでしょうか?
多くのママが持つ母子手帳の疑問について、基本的なことを押さえておきましょう。
いつまで使うの?
母子手帳を頻繁に使う期間は、「妊娠中から子どもが小学校入学まで」です。特に健診や予防接種など、病院に足を運ぶときには持ち歩くようにしましょう。
旅行先でも万が一の事故や病気で現地の病院に行く場合、母子手帳の情報があればスムーズに治療を受けられるため安心です。
子どもの小学校進学以降は、母子手帳を頻繁に開いて記録したり、持ち歩いたりすることは減りますが、ずっと大切に保管しておきましょう。
後々学校に病歴や治療歴を伝える必要が出てきたときや、大人になって「はしか」や「水ぼうそう」の予防接種をいつ受けたかを知りたくなったときに役立ちます。
もし紛失したら?
母子手帳を紛失してしまった場合は、初回発行時と同じように「役場窓口」や「保健センター」に足を運びましょう。無料で再発行されることがほとんどですが、詳細は自治体HPや問い合わせ窓口で確認しておいた方が無難です。
再交付された母子手帳は、当然ながら今までの記録が付けられていません。病院には数年分のカルテが保存されているため、データをさかのぼって再度母子手帳に記入してもらえないか確認してみましょう。
ただし、母子手帳への再記入は病院の義務ではないため、忙しい病院では渋られてしまうケースも少なくありません。乳幼児健診の結果については、自治体で再記入を受け付けている場合もあります。
なお、母子手帳は再発行できても、母子手帳と一緒に発行される助成券は再発行を受け付けていない自治体が多いため、失くさないようにしましょう。
アプリもあるの?
母子手帳に手書きで記録し続けるのが手間だという人は、アプリの活用がおすすめです。スマホならほとんどの人が普段から持ち歩き、いつでもどこでも記入ができるため、管理しやすいのではないでしょうか?
母子手帳アプリ「母子モ」は、アプリを導入している自治体に居住している場合利用できます。母子の健康がクラウド管理できることはもちろん、予防接種などのスケジュールを記入しておくことも可能です。
自治体が配信するイベント情報や子育てに関するお役立ち情報、自治体の子育て施設の検索機能もついています。
・アプリ名:母子手帳アプリ 母子モ ~電子母子手帳~
・価格:無料
まとめ
母子手帳は母子の健康を正確に記録し保存することはもちろん、行政のサービスを受けるために必要です。病院ではなく役所や保健センターで交付されているため、タイミングがきたら受け取りに行きましょう。
母子手帳は、子どもがある程度成長するまで頻繁に使用するものであり、失くさないように注意する必要があります。
自治体によってはアプリを導入している場合もあるため、スマホの方が管理しやすい人は利用がおすすめです。母子手帳をしっかり活用し、妊娠中や育児の強い味方にしましょう。