それって本当? 日本心理教育コンサルティング代表・櫻井勝彦先生は次のようにいう。
「高学歴の親が子どもを追い詰めてしまうというのは、私自身のクライアントさんでももっとも多いケースです。自分が努力し、できたから、子どもが同じようにできると思い込んで、プレッシャーを与え続けてしまうのです」(櫻井先生 以下同)
思うようにできないわが子に対し、「なんでできないの?」「こんなこともわからないの?」と思ってしまうことは、誰でも少しはあるかもしれない。でも、それは、「発達段階」を理解していないだけの可能性もあると、櫻井先生は続ける。
「人間には発達段階があり、それが少し遅いだけなのかもしれませんし、単に自分が大人になって当たり前だと思っているだけかもしれません。自分が長年やっていることは、誰でもできて当たり前だと思ってしまうもの。親がそれを自覚することは大切です」
また、「なんでできないのか」と思ってしまうのは仕方ないとしても、人格を否定するのは厳禁だそう。
「イラッとしたときは、6秒止まって、そこから発言しましょう。繰り返し意識することで、子どもへの暴言・失言を減らすことはできます」
●勉強ができない=人間としてダメではない!
もちろん親が高学歴であることで、必ず子どもが追い込まれるわけではない。だが、高学歴の親には「勉強や成績ばかりに価値を置いてしまう」人が多数いて、そうした親が子どもを追い込んでしまうのだとか。
「たとえば、東大を出ても劣等感が強く、引きこもりになっているような人もいます。常に点数で評価されるため、テストで90点とっても『なんで100点じゃないの?』といわれ、落ち込んでしまう。すると、自己肯定感が育ちにくくなるのです」
また、「勉強ができる」ことで肯定感を持てても、それだけで社会で生きていけるわけではない。否定されることも当然あるもので、すると、否定されることに対して常に怯えを抱くようになるという。
「点数はその子の一部でしかありません。人間として認めてあげ、褒めてあげることが大切です」
勉強ができなくても、人間としてダメだと思わせないこと。また、勉強ができても、点数・成績だけを褒めないこと。高学歴の親でも、点数・成績以外の部分で、人間として認めてあげていれば、子どもの精神が崩壊することはないそうだ。
(田幸和歌子+ノオト)