「親子共依存とは最近始まったことではなく、これまでは、大まかに“過保護”という言い方で表現されてきました。子どもを弱者にし、愛情という名を借りて支配することを指し、自分の意見を押しつけ、自分の思い通りに育てようとする。母親はそれを子どもへの愛情と信じて疑わず、支配していることにすら気がつかない…そんな状況を親子共依存と呼びます」(信田氏 以下同。)
それではどんな親が、“親子共依存”に陥りやすいのか?
●親子共依存チェックリスト
(1)子どもは親に秘密を作ってはいけないと思っている。
(2)子どものことは自分が一番よくわかっていると思っている。
(3)夫よりも子どもを大事にしている。
(4)子どもの希望に沿うことは、子どもを大事にすることだと思っている。
(5)自分の人生よりも、子どもの人生を一番に考えている。
「以上の項目にすべて〇がついたお母さんは、今後注意が必要と言えますね。子どもを自分の思うとおりに支配するお母さんが多くいる一方で、最近では、嫌われたくないから子どもに従う…そんなお母さんが増えているように感じます。一見とてもいいお母さんのように映りますが、実はこれも危険。子どもが自分の前に立ちはだかる社会の規範を学ぶことを妨げてしまいます。親が意見をはっきり伝えることは嫌われることでなく、親子共依存を避けるためにも必要なのです」
もちろん、小学生まではあふれんばかりの親の愛情が必要だが、支配と容認のさじ加減を考えながら接することが重要。子どもが中学生になり、思春期を迎えるとともに、親は自ら少しずつ、わが子から離れていく努力が必要だという。最も大変な育児期間は、たった12年余り…そう考えてみると、今この時期、一瞬一瞬を大切に、子どもと正しい形で触れ合うことができるのかもしれない。
(取材・文/蓮池由美子)
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