●自立するのを待つのではなく、親から手放す
「そもそも親子で友だちになることはありえません。世代が違い過ぎると友だち関係は成立しませんので、子離れしなくて済むための、親にとって都合がいい“まやかしの言葉”だと思います。夫婦関係の崩壊を防ぐために、子どもをペット化し、子どもは友だちと遊びたいのに親の都合で連れ回したり、家族がまとまるための道具にしたり…。そのうち子どもは“私がいないとお母さんはダメなんだ”と思うようになり、一生親を支えなければという呪縛にとり憑かれてしまうこともありえます。子どもが母を支えるのではなく、夫が妻を支えるべきなのです。息子や娘を解放してあげましょう」(信田氏。以下同。)
中学生になった子どもが、平気で親とお風呂に入ったり、一緒に寝たりする現象が増えていることに、首を傾げる信田氏。
「いくら仲が良くても、あまりお勧めできませんね。日本では、添い寝の文化があるので許されていますが、欧米ではありえない事態です。子どもも”それでいいんだ”と思うようになれば、自立が遅れる可能性が大きいでしょう。ここでぜひとも、お母様方に知っておいて欲しいのが、“子どもは、放っておけば自立するものではない”ということ。親のほうから手放し、距離を作らないと、子どもからは出て行ってくれないものなのです。中学生になっても、寝室やお風呂を共にするようなら、親の方から手放す姿勢を見せて下さい」
親があまりにも娘や息子と一体化しすぎると、さらにこんな弊害も起こるという。
「例えば、娘さんが大きな砂山を作ったとします。どんなに素晴らしい砂山でも、それがほとんどお母さんの手によるものであれば、どんなに褒められても、娘さんは“いったい誰が作って、誰が褒められているのか?”混乱してしまい、満足感が得られない状況に陥ってしまう。子どもと一体化し過ぎると、子どもの手柄もすべてが親の手柄になってしまい、そのお子さんは、満足感や達成感が得られないまま大人へと成長してしまうのです。教育熱心な親に多くみられるケースかもしれません」
ショッピングや食事…ときに友だち親子として楽しむのはもちろんいいこと。だが、それも度が過ぎると、愛情が支配へと変わり、子どもの重荷になることも…。母たる者、子の友だちではなく、あくまで“親”であることを決して忘れてはならない。
(取材・文/蓮池由美子)