●子に注ぐエネルギーを社会貢献へと向ける
「まずは親が気づくことが大切。一番のポイントは、支配するしんどい愛から、手放す愛へと切り替えることです。子が成長するに従って、親子の線を弱く、夫婦の線を強くしていくことこそが本来あるべく家族の姿なのですが、夫不在で育児をこなしてきたお母さんたちにはそれができない。“私がいなければこの子はダメになる!”という意識は望ましくないことを知り、まずは自分の人生を楽しもうとして欲しいのです」(信田氏。以下同。)
親子共依存に陥る人は、普通の人間関係においてもベッタリしがちなのだそう。それでも、家庭内だけにエネルギーを注ぐのではなく、そのエネルギーを、多少なりとも外に向けることから始めれば、子の負担も軽くなる。
「子どもより夫…それができない人は、“自分がいないとダメ!”というコミュニティに属することをお勧めします。子どもの世話だけに集中するのではなく、他人の世話をし、サポートするのです。例えば、ボランティアや町内会、フランダンスやヨガ…何でもいいので、熱中できる何かを見つけ、そこで役割を得ること。共依存になる人は、元々お世話好きな人が多いので、その多大なエネルギーを、ぜひとも社会貢献へと向けて欲しいのです」
「良妻賢母を辞めて、楽妻怠母になりましょう。子どもにとっては、楽しくていい加減な母親が最高なんです!」と語る信田氏。まずは母親自身が自分の人生を楽しみ、幸せになることが大切。我慢せず、楽になることからすべてが始まる…母性愛を人類愛、隣人愛のひとつであると捉え、母親であるあなた自身が幸せになるべきなのだ。
(取材・文/蓮池由美子)
お話をうかがった人
信田さよ子
撮影/松本路子
1946年岐阜県生まれ。心理学者、臨床心理士。
アルコール依存症、摂食障害、ドメスティックバイオレンス、アダルトチルドレン、子どもの虐待などの問題に取り組み、数多くの著書を手掛ける。
撮影/松本路子
1946年岐阜県生まれ。心理学者、臨床心理士。
アルコール依存症、摂食障害、ドメスティックバイオレンス、アダルトチルドレン、子どもの虐待などの問題に取り組み、数多くの著書を手掛ける。