子育て事情に詳しいファザーリングジャパンの杉山錠士さんは、次のようにいう。
「先方に直接謝罪に行くのは、相手への謝辞という意味で必ず行った方が良いと思います。このとき、子どもにもその姿を見せることがオススメ。親が謝っている姿を見ることで、子どもは自分のした行動がおおごとになっていることに気づけます。次に同じようなトラブルを起こさないためにも、自分の引き起こしたことの大きさをきちんと把握させるといいと思います」
このとき、普段から何気ないことでも親同士で連絡をとっていると、大きなトラブルを事前に防げることもあるそう。
「私の娘も以前、友だちとケンカをして相手にケガをさせてしまったことがあります。事実確認も含めて相手の親御さんと電話で話し、娘にどんな理由があっても、友だちにケガをさせた娘が悪いのでと謝罪。向こうもたいしたことがないのでいいですという感じだったのですが、娘に自分のした行動の結果をわかってもらうために、子どもの前で改めて謝らせてもらったことがあります」
●相手と距離感がある場合の謝り方は?
相手の親との距離が近ければよいけれど、施設内や校内でケガをさせてしまった場合、親同士の対立になることもある。相手の親とうまくコミュニケーションが取れていない場合はどうしたらよいのだろう?
「トラブルが起きたときにどれだけ誠意をもって対応できるかで、信頼度は大きく変わります。単純に謝るだけですと、その瞬間でそのことを流してもらおうという感じになります。そうなると、謝ってもらったけど許せないという不満が相手に生まれてしまいます。こちらが悪かったと謝罪したうえで、また何かあったときは一緒に考えさせてくださいと、先につなげられると、お互いより良い関係を築けると思いますよ」
このようなトラブルは、子ども自身にもそのときどうしたらよかったのかを考えさせる経験になり、子どもの問題解決能力を育むチャンスにもなる。事故やトラブルがあったときこそ相手に誠意を示し、歩み寄る姿勢を大切にしよう。
(石水典子+ノオト)