今貯金できていても老後貧乏になりうる!FPに資金貯蓄の方法を聞いた

第4回 夫婦30代からのマネー術
貧困世帯の増加が社会問題化していますが、それは高齢者も同じ。年金をはじめとする毎月の家計収入が生活費を下回り、困窮してしまう高齢者が増えているといわれています。実際、高齢者世帯の4割が生活保護基準より低い収入で生活する「老後貧乏」状態なのだとか。

さらに、数十年後には年金受給額も減額され、ますます厳しい状況が予想されます。現在30代の子育て世帯が「老後貧乏」に陥らないためには、どんな心構えが必要なのでしょうか? 家計見直しのプロであるファイナンシャルプランナーの藤川太さんにうかがいました。

●老後に向けて夫婦で話し合う姿勢が大事

藤川さんによると、老後にゆとりある生活を送っている人には共通点があるといいます。

「それは、夫婦で家計の目標を立て、しっかり共有しているということですね。たとえば、子どもを何人産むとか、家や車をどうするかなど、資金が必要なことについてしっかり話し合っていますよね。会社でいうところの、経営目標を夫婦でしっかり立てられている状態です。

共稼ぎで収入が多い夫婦だと、『自分が稼いだお金は自分のもの』という考え方に陥りがち。しかし、老後に備えてお金を貯めようと思ったら、効率的に収支を管理していくことが必要なんです」(藤川さん、以下同)

お金の話が苦手で、つい喧嘩になってしまうという夫婦も多いかもしれません。しかし、生涯にわたる夫婦円満のためには、あえて耳の痛い話を共有し、老後の糧をともに築き上げる姿勢がまずは必要なのかもしれません。

30代夫婦「老後貧乏」予備軍の特徴とは?

●家計が黒字だからといって安心しない

上記をふまえ、家計を管理するにあたっては「長期的な視点に立つ」ことが重要と、藤川さんはアドバイスします。

「今現在の収支がプラスだったらOKという考えは危険です。黒字だからとつい安心してしまいがちですが、長期的な計画から逆算すると、将来お金が足りなくなってしまうこともあり得ます。重要なのは『ライフプランを持つこと』です。

以前、雑誌『ESSE』のアンケートで、ライフプランを持っている家庭と持っていない家庭を比較した場合に貯蓄額が倍も違うという、驚くべき結果が出ていました。つまり、やみくもにお金を貯めるのではなくて、『何のために貯めるのか』というのをしっかり把握することが必要。老後の年金で貯金をしている夫婦もいますが、やはり現役の頃から資金のやりくりも計画的に行うべきです」

ちなみに、以下は「老後貧乏」に陥る危険が高いタイプかどうかを見分けるチェックリスト。もし「はい」が3つ以上ある場合は、早急にライフプランを立て、家計を見直す必要があるとのことです。

□10年後といった将来の自分や家族について想像したことがない
□贅沢しているつもりはないが、なぜかお金が貯まらない
□生命保険に勧められるがまま加入した
□なかなか自分では決断することができないタイプだ
□家計が苦しくなると、まずは目の前の節約から手をつける

人生の晩年は誰しもが悠悠自適に暮らしたいもの。そのためにも、まずは夫婦で家計についてしっかり話し合うことから始めてみてはいかがでしょう。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)

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お話をお聞きした人

藤川太
藤川太
生活デザイン株式会社 代表取締役
生活デザイン株式会社が運営する「家計の見直し相談センター」で10年以上にわたり1万5000世帯を超える家計の見直しを行ってきたファイナンシャルプランナー。資産運用、家計管理、マイホーム購入、不動産投資などに精通。
生活デザイン株式会社が運営する「家計の見直し相談センター」で10年以上にわたり1万5000世帯を超える家計の見直しを行ってきたファイナンシャルプランナー。資産運用、家計管理、マイホーム購入、不動産投資などに精通。