●希望する老後の生活に必要な費用から逆算
「平成26年度の総務省家計調査によると、ともに65歳以上の夫婦でおもな収入を年金とする世帯は、毎月の手取り収入が18万518円であるのに対し、消費支出が23万6544円。つまり、毎月5万6025円の赤字となってしまいます。そのため、現時点でもすでに貯蓄がなく、悠悠自適どころか困窮してしまっている高齢者世帯も多いのです」(藤川さん、以下同)
ちなみに、現在の30代が老後を迎える頃には年金受給額が2割程度削減される見込みとのこと。
それらを踏まえたうえで、老後までに貯めておくべきお金を藤川さんに算出してもらったところ、「最低でも1400万円」とのことだ。
「夫婦が平均で85歳まで生きると仮定した場合、65歳からの20年間でおよそ1400万円不足していることになります。ただ、これはあくまで家計調査上の平均なので、人によっては大きな病気になって医療費などがさらにかさむことも考えられる。平均的な生活で1400万円ということです。なお、30歳から65歳までに1400万円を貯蓄するとなると、ひと月当たり約3万3000円を貯めていく必要があります」
1400万円はあくまで「平均的なライン」の金額。人よりも旅行に行ったり、外食をしたり「悠々自適に過ごす」となると、プラス1000万円の蓄えはほしいと藤川さんはいいます。
●投資も老後資金を増やすひとつの手段
都合2400万円もの大金となると、節約で貯めるにも限界があります。そこで、藤川さんは投資によって老後資金を確保するのもひとつの手とアドバイスします。
「支出管理と運用のコントロールは別物のようでいて、じつは使う能力は似ています。資産運用について学ぶことは家計管理のスキルアップにもつながるため、実際には投資に手を出さないにしても、決してマイナスになりません。
多くの人は失敗を避けるために、株などをしっかり勉強してから始めようとしますが、投資は車の運転に似て技術的な要素が強いものです。ライフプランが崩れない範囲の額、小額から行うことを鉄則として、実践経験を積むことが重要です」
ただし、大前提としてまずは、支出をしっかり管理して貯蓄を試みることが重要。その上で、余剰資金を使って投資などにチャレンジしてみては、と藤川さん。
いずれにせよ、これからは貯蓄や投資といったあらゆる手段を尽くし、個々がマネースキルを磨くべき時代といえそうです。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)
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