見直される病院にはない助産院のメリット

第4回 2人目こそ助産院で…見直される助産院のメリット
木漏れ日が降り注ぎ、緑にあふれた和室に入ると、まるで実家にでも帰ってきたかのような気持ちになる…。“助産院”と聞くと、「大きい病院で産まなくて大丈夫? 本当に安全なの?」そんな声が聞こえてきそうだが、今、妊婦さん本来が持つ力を信じ、自然分娩を促す“助産院”が大きく見直されている。はたして、大手の病院にはないメリットはどこにあるのか? 「松が丘助産院」を営むベテラン助産師・宗祥子氏に聞いた。

●助産院で産むお母さんは、少子化とは無縁で子だくさん

「病院との一番の大きな違いは、陣痛促進剤などの医学の力に頼るのは最小限で、担当助産師が最初から最後までお産を受け持つということ。診察時間も30分と、病院よりは比較的長めに取っています。病院でのお産は、どうしても赤ちゃんが主役になりがち。でも、助産院の主役はあくまで“お母さん”です。お母さんを最大限にいたわり、励まし、サポートしてこそ、つらいお産が素晴らしい体験へと変わり、3人目、4人目という感覚になる。ですからうちの産婦さんは、子だくさんな方がわりと多いです(笑)。無痛分娩が当たり前のフランス人の妊婦さんが、助産院のお産に感動し、松が丘助産院で2人出産した後、4人目のお産を頼まれて、私、フランスまで出張でとりあげに行ったこともあるんですよ」(宗氏 以下同)

妊婦健診では入念な食事指導が行われ、足裏のケアで全身状態を把握するなど、すべてに渡ってきめ細かな配慮が感じられる。

「ストレスから胃腸、肺にいたるまで、足を触れば、妊婦さんのどこが悪いかわかります。ほかにも、体幹を鍛えて自然な安産を目指す“ゆる体操”や“ヨガ”などもレッスンしていますので、最終的には病院で産む妊婦さんも、もっと助産院を有効利用してほしい。食事や母乳指導、産褥入院だけの利用もOKなので、助産院に興味を持たれた妊婦さんには気軽に足を運んで頂きたいですね。上の子がいらっしゃるママも、お子さんと一緒に泊まることができるので、おススメですよ」

快適な助産院

●“産褥入院”は、近年特に利用するママが急増 

なかでもお産の後のケアが受けられる“産褥入院”は、近年特に利用するママが急増している。

「実家が遠い、実のお母様を早くに亡くされている…など、子育てで頼れる人が近くにいないママが訪れるケースはもちろんですが、お産で体がボロボロになってしまったママが駆け込み寺のようにいらっしゃるケースも多くなりました。産後のママのケアはとにかく大事で、その後の育児にまで深く関わっていきます。だからこそ、自分1人で思い悩まず、産褥入院をして、心身ともにリラックスした育児をスタートさせてほしい。ママが自分の体をしっかりといたわってこそ、理想の育児ができるのです」

「うちは24時間電話OKなので、新米ママさんが泣きながら、深夜に、『先生、おっぱいを全然飲んでくれないんです~』と電話してくることもよくあります。私にとって、産婦さんたちは娘のような存在なんですよ」と聖母の様な笑みを浮かべる宗氏。2人目は助産院で…病院にはないメリットを体感してみるのもいいのでは?
(取材・文/蓮池由美子)

お話をうかがった人

宗祥子
宗祥子
松が丘助産院・院長
1952年愛媛県生まれ。中央大学法学部卒業。第1子を31歳で出産し、出産のダイナミックさに圧倒され、助産婦のケアに感動。36歳で助産師を目指し、助産師資格を取得。矢島助産院、育良クリニックで研修し、「松が丘助産院」を開院。現在に至る。撮影/武井メグミ
1952年愛媛県生まれ。中央大学法学部卒業。第1子を31歳で出産し、出産のダイナミックさに圧倒され、助産婦のケアに感動。36歳で助産師を目指し、助産師資格を取得。矢島助産院、育良クリニックで研修し、「松が丘助産院」を開院。現在に至る。撮影/武井メグミ