「他人の母乳」を我が子に与える是非

「他人の母乳」を我が子に与える是非

第46回 今日の注目を紹介! ママニュースアンテナ
今やインターネットで大概のものは手に入る。しかし、それが「母乳」となると、さすがに驚きを禁じ得ない。ネット上には「母乳の売買」を謳うサイトが存在し、母乳の出ない母親が藁にもすがる思いで購入するケースがあるというのだ。だが、その是非については否定的な声が多く、その安全性についても疑問視されている。

●リスクが大きい「母乳の購入」。厚生労働省が注意喚起

先ごろ、ネットで「母乳」と称して販売された商品がじつは偽物で、多数の細菌が確認されたことを毎日新聞が報じて大きな話題となった。この報道を受け、厚生労働省は次のように注意喚起している。

「既往歴や搾乳方法、保管方法等の衛生管理の状況が不明な第三者の母乳を乳幼児が摂取することは、病原体や医薬品等の化学物質等が母乳中に存在していた場合、これらに暴露するリスクや衛生面でのリスクがあります」(引用ママ)

前述の報道のケースでは、購入した「偽母乳」を30代の母親は我が子に飲ませてしまったという。激しく後悔している様子の母親だが、ネット上の反応は手厳しいものばかりだ。以下、Twitterより。

「ネットで母乳買うなんて母親失格!」

「母乳をネットで買う。それがどれだけ恐ろしいことなのかわかっていない母親が多すぎる。母乳出ないの?と煽り騒ぎ立てる周りもどうかと思うがね・・・」

「別に誰が何を買っても良いけど危険性を考えないのかね? 悪意のある販売者 想像力の無い馬鹿な親 犠牲者は赤ちゃん」

●他人の母乳は気持ち悪い? かつては「乳母」という役割も

一方、誰のものか分からない母乳はもちろん、それがたとえ知人であったとしても、そもそも「他人の母乳を我が子に与える」こと自体に抵抗感・嫌悪感を抱く母親も少なくないようだ。女性を対象にした掲示板『発言小町』に寄せられた「我が子以外への授乳、どうお考えですか」という質問には286本ものレスがついているが、その多くが否定意見。「無理です」「気持ち悪い」という声が多数を占めた。

とはいえ、世の中には母乳が出ずに悩む母親が多数存在していることも事実。広く根付く「母乳信仰」がプレッシャーとなり、苦しんでいる人も少なくないだろう。その結果、ネット上で手軽に入手できる「母乳」に心惹かれてしまったとしても、頭ごなしに非難することはできまい。糾弾されるべきは、そんな母親の心理につけこむ悪徳業者の方だ。

なお、消費者庁ではそんな母親に対し、「1人で悩まず、インターネットで母乳を購入する前に、子共への授乳について地域の医師や保健師等に相談しましょう」とメッセージを送っている。
(文・前田智行)

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