「登園拒否になる前の兆候として、体調不良になることが多いです。腹痛や発熱、頻尿、便秘、少食や偏食、夜泣きなどがあります。また、子どもにとっては行きたくない場所に行っているため、すごく疲れて帰ってきます。そのストレスは自分より弱いものに向かうので、きょうだいがいる子は妹や弟に、ペットがいる家は犬や猫などをいじめたりします。そういうときは、園で何かつらいことがある、または疲れている可能性があると考えてください」(内田さん 以下同)
また、トイレを失敗する、ご飯が食べられなくないなど、いままでできていたことができなくなることもある。このとき、親がしつけとして叱ってしまうと子どもの心は傷つきます。
「これらが起こるのは、必ず子どもになにか原因や理由があるからです。小さいお子さんはまだ言葉で伝えられることが少ないので、態度として現れます。そういう行動がみられたら、直そうとするのではなく、なぜそうするのか理由を聞いてみましょう。優しく様子を聞くことが親の愛情を伝える手段ともなり、子どもが安心します」
●登園しぶりは子どもが問題を抱えているサイン
また、子どもは嫌なことがあっても、自分では意識して気づいていないことも少なくない。そのため、トラブルを抱えて反抗的になっても言葉に出さないでいることも考えられる。
「もし子どもが聞かれて説明できるときは、問題は進行していません。言えないときは、複合的な問題を抱えていているサインです。基本的に子どもは即答できません。一度聞いても答えられないときは「いつでも聞くからね」と親の気持ちを伝えることが必要です」
では、子どもが登園拒否になったときに多い、親のNGな行動ってあるの?
「親は自分の都合を優先しがちです。全身で行きたくないことを訴えているのに、もしお母さんがだき抱えて無理に保育園へ連れて行くことは、子どもにとって脅威です。まずは気持ちを受けとめてあげることが大切です。そうすれば、子どもは自分の状態を分かってもらえたことに安心します。休ませることも選択肢として考えましょう」
登園しぶりが進行し、登園拒否にまで発展すると、子どもになんらかの不安定な行動や体調不良が現れてくる。子どもが「保育園に行きたくない」としぶって主張するのは、登園拒否を起こす前の子どもの危険信号なので見逃さないようにしよう。
(ノオト+石水典子)