●増加する他国の漁船で漁獲量が減少?
価格高騰の要因のひとつがサンマ水揚げ量の大幅減少。日本のサンマ漁獲量が減少している一方で、台湾や中国、韓国の漁獲量が増加傾向にあり、2013年にはこれまで漁獲量が世界一だった日本を台湾が抜き、約23万トンに達している。
他国の漁業は、日本に権利のある排他的経済水域よりも外側にあたる公海(国家が領有できないエリア)と呼ばれる水域で行われており、日本がすぐに漁業の禁止などを呼びかけられるわけではなさそう。
公海では、日本にはない1000トン級の大型漁船を含む何十隻もの漁船がサンマの漁獲をしている。なかでも、和食ブームが起きている中国の漁船が急増しており、今後数年のうちに日本や台湾と同程度の漁獲量になる可能性が高いようだ。
将来の資源を守るために、国際的な規制をつくることが重要視されている。日本と同じように、自国の近海で漁獲を行うロシアは規制が必要という考えだが、公海で漁獲をしている台湾や中国は、まだ漁獲量を増やすことができると主張しているそう。各国での漁獲量が増加し続けると、今までは安価で購入できたサンマもいずれは高級魚の部類になってしまってもおかしくはないだろう。
乱獲や生息地の減少で、昨年絶滅危惧種に指定されたニホンウナギや、生息量の減少が懸念されているクロマグロなどと同じ道を辿ってしまわぬよう願うばかり。消費者としては、これからもサンマを気軽に食卓に並べたいところだが、場合によってはガマンが必要な日も出てくるかもしれない。
(文・奈古善晴/考務店)
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