「4月からお子さんは小学生になるわけですが、3月31日まで幼児と呼ばれていた子が一夜明けて4月1日になったからといって、自動的に園児の中身が小学生になるわけではありません。あくまでもそれは、大人が決めた区切りでしかないのです。つまり、入学後にお子さんが困らないためには、やはり小学生に向けての準備や習慣がとても大切になってきます」
そう話すのは、これまで幼児を7000人以上指導してきた子育て本著者の立石美津子さん。そこで、入学前にこれだけは身に付けておきたい5つの生活習慣”を教えていただきました。
1)時間の管理
小学校では、自分自身で時計を見て動いたり、チャイムの音で行動しなくてはなりません。
「入学時に時計の概念がまったくない子にとっては、これがとても大変なことなんです。時計は算数の時間に勉強しますが、本来は幼児期に生活のなかで体感して理解していくものです。ですから、家にアナログ時計(=針がついた時計)を置き、3歳くらいの子に対しても“早くしなさい!”“もう寝なさい”ではなく、“あと10分で3時だからおやつにしようね”“そろそろ8時だから寝ましょうね”と、あえて時刻を意識した会話を心がけ、行動するように習慣づけましょう。例えば、食事時間も、だらだらと“ながら食べ”をさせず、食事時間を区切ってみるのもいい準備になると思います」
2)持ち物の管理
小学生になると、自分で翌日の時間割りを見て教科書やノート、持ち物を準備していかなくてはなりません。
「つい数週間前まで幼稚園や保育園の持ち物をすべてお母さんに揃えてもらっていた子にいきなり“自分で準備しなさい!”と言っても、そう簡単にできるものではありません。幼児期から、自分で通園カバンに持ち物を入れさせることで、毎日準備することを習慣化しておきましょう」
3)正しい鉛筆や箸の持ち方を身につけさせよう
小学校の先生は、鉛筆の持ち方やお箸の持ち方について“正しく持ちましょう”とは言うものの、一人ひとり指導して直してはくれません。
「お箸や鉛筆の持ち方は、一度間違った持ち方のクセがついてしまうと、なかなか直すのが難しいです。とにかく最初が肝心!キレイに書く、上手に食べるは後回しでいいので、幼児期に正しい持ち方をまず身につけさせましょう」
4)身支度を自分でさせよう!
体育の時間になれば自分で体操服に素早く着替えて準備しなければならない小学校。
「園児のころは、着替えに困っていれば先生が手伝ってくれましたが、小学校は1クラス30人以上いるので、さすがに先生も対応しきれません。家でお母さんが着替えを手伝ったり、脱ぎ散らかした服を畳んであげていれば、いきなり自分でできるはずもありません。お子さんに恥ずかし思いをさせないためにも、自分で着替えて脱いだ服を畳むことは日々練習させ、習慣づけましょう」
5)毎日、家庭で5分机に向かう習慣をつけておく
入学すると1コマ45分の授業が始まります。毎日、宿題も出ます。
「園児だったころに、机に向かう習慣がない子にとっては、これはかなり辛抱がいることです。幼児期から、5分でいいのでお絵かきや折り紙、学習など、毎日机に向かう練習をしておきましょう。慣れてきたら、少しずつ時間を延ばしていくとよりいいと思います」
親御さんにとっては、どれもできて当たり前のことかもしれませんが、お子さんにとっては一つひとつが成長のハードル。いきなり高いハードルは跳べません。幼児期から少しずつ意識して習慣化していきましょう!
(構成・文/横田裕美子)