「小学生になったといっても、まだまだ大人に助けてもらわないとできないこともたくさんあります。そんなとき、一番危険なのは、先生が気づいてくれるのを黙って待ってしまうことなんです」
そう話すのは、これまで幼児を7000人指導してきた子育て本の著者・立石美津子さん。
幼児期は、担任の先生が手取り足取り、“どうしたの?”“大丈夫?”と助けてくれますが、小学校はそうはいきません。
「小学校は自分のことは自分ですることが前提になります。先生もよっぽどのことが起きない限りは助けに来てはくれません。だからこそ、入学前からSOSの出し方をきちんと教えておかなければなりません。授業内容がわからないなら“わかりません”。一人でできないときは“できないので手伝ってください”。どうしてもトイレが我慢できなかったら“トイレに行っていいですか?”。いじめられているときは“助けてください”。このように、SOSを出していいということ、自分の意志をしっかり伝えることをきちんとお子さんに教えて習慣づけておきましょう」
●親が過保護だとSOSが出せない子になってしまう
SOSを出す能力というのは、過保護な家庭では育たないという立石さん。
「いちいち子どもの顔色を見てほしいものを与えたり、先回りしたりする家庭では、大人が気が付いてやってくれるまで待つ子どもになってしまいます。普段の生活から、子どもが何かほしがっているなと分かっても、きちんと言葉で伝えてくるまではあえて動かないことも大切です」
例えば、お友だちとの付き合い方も同じだという。
「幼少期から子どものトラブルに親がいちいち口出ししたり、トラブルを未然に防ごうとしたりすると、自分で“やめて”とか、“イヤ”と、はっきり言えない子どもになってしまいます。いじめのターゲットになりやすい子は、悲しいですが、自分の気持ちがはっきり言えないタイプの子が多いです。もちろん性格もありますから、自分で言いかえせない場合は、親や先生にSOSを出すようにきちんと教えておきましょう」
さらに、小学校での友だち関係について、アドバイスをくださいました。
「よく親御さんは“みんなと仲良くしようね”と、教えると思います。もちろん、それが理想ですよね。でも、それは時にはお子さんにとってプレッシャーになってしまったり、無理して付き合うことで我慢がストレスにつながる場合もあります。大人もそうですが、気が合う合わない、好き嫌いという感情は子どもにもあります。あくまでも子どもの友だち関係は子どもに任せて、あまり親の理想論で子どもにプレッシャーをかけすぎないように! 普段はじっと見守り、いざというときには手をさしのべてあげるようにしてください」
SOSが出せなかったことでお子さんが傷ついたり、取り返しのつかないことにならないよう、入学までにきちんとその術を身につけさせましょう!
(構成・文/横田裕美子)