でも、その書かせ方次第では、お子さんの大事な発想力の芽を摘んでしまうという。
「お子さんが絵や日記や作文を書いたときに、親御さんはつい“こうしたほうがいいんじゃない?”“この色じゃないでしょ?”などと、声かけをしたり、修正させたりしていませんか? もちろんよかれと思ってのアドバイスなのですが、実はお子さんの大切な発想力の芽を摘んでしまう可能性もあるのです」
そう話すのは、これまで7000人以上の幼児を指導してきた子育て本著者の立石美津子さん。
「子どもは既成概念がありませんから、発想力も感受性も自由で豊かです。でも、“こうあるべきだ”“これが一般的だ”という既成概念で物事を考えてしまう大人がアドバイスすることによって、せっかくの豊かな発想力も感受性もだんだん失われてしまうのです」(立石さん 以下同)
例えば、幼児期からの絵本の読み聞かせをしたとき、どんなふうに対応していますか?
「親御さんは、読み終わったあとに“どうだった?”“悲しかったね”“この子はこのときどんなふうに思ったのかな?”などと、根掘り葉掘り聞いて
しまいますよね? でも、どう感じるかはお子さんの自由なのです。例え、“おもしろくなかった~”と言っても立派な感想ですし、いわゆる一般的なとらえ方、感じ方でなかったとしてもありのままの感想なのです」
こういうときは、あえてこちらから感想を聞かないほうがいいと、立石さんは話します。
「親御さんが感想を聞いてしまうと、お子さんはありのままの感想が言えなくなってしまったりするものです。ですから、こちらからあえて聞かないで自由に感じさせてあげてください。本人からありのままの感想を言ってきた場合は、それが大人の既成概念からズレていたとしても“そうじゃないでしょ”などと決して修正したりせず、うんうんと聞くだけでいいのです」
絵や作文や日記なども、自由に書かせることが大事だという。
動物園がお題の「遠足の思い出」の絵、象やキリンでなく園内のレストランで食べたハンバーグや乗り物の絵を描いてもよいのです。
「文章もきちんと順序だてて書くことも大切ですが、まだとても難しいことですし、いずれ訓練で身につくものです。しかし豊かな発想力は発揮させてもらえる環境がなければ、芽を摘まれてしまいます。これからの時代は、より社会でも企業でも人にはないオリジナリティーを持った人が必要とされます。目の前の学校の成績や周りの評価を意識しすぎるあまり、お子さんの将来の芽を摘んでしまわないように、お子さんのありのままを受け入れて見守り、伸ばしていってあげてください」
既成概念に囚われないことが、新しい世のなかを作っていく。未来を担う子どもたちの幼児期の豊な発想力を何より大切にしてあげたいものですね。
(構成・文/横田裕美子)