『子どもの心のコーチング』(PHP研究所)著者で、NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事の菅原裕子さんに聞いた。
「赤ちゃんの時期にお母さんたちが『育てにくい』と感じる場合、夜泣きや、よく泣くこと、食べないことなどが挙げられますが、考えられるのは『過敏』であるケースです」(菅原さん 以下同)
過敏さには、聴覚的、触覚的、あるいは頭のなかが忙しい(興奮度合いが激しい)など、さまざまな意味を含む。しかも、こうした体質的なものは大人になっても引き継がれる可能性があるそう。
「例えば、味覚をイメージするとわかりやすでしょう。赤ちゃんでも『離乳食を食べない』子がいますし、もう少し大きくなっても『ニンジン嫌い』『ピーマン嫌い』といった、好き嫌いの多い子もいます。大人になってからも『味覚が繊細』という形で残ることもありますし、大人になったら好き嫌いが治ったという、一時的なものといえる場合もあります」
また、よく泣く子に「カンの強い子」などという場合もあるが、原因には「体質」と「気質」の両面があるそうだ。
「一般に『カンが強い』というのは、よく泣く子について言うことが多いですが、気質的には過敏だけど、体質的には特に何の問題も抱えていない場合もありますし、逆も考えられます。気質の過敏さにアレルギーなどの体質的過敏さが加わると、余計大変になる場合もあります」
●親の不安が伝わって「難しい子」になることも
加えて、「難しい」「育てにくい」というのは、兄弟・姉妹間の比較で使われることもあるそう。
「例えば、ひとり目の子のときは、初めての育児でさまざまな問題にぶつかったのに対し、ふたり目のときには経験があるため『なんてラクなの!?』と感じることもあります」
一方、育て方や環境にかかわらず、もともと「難しい子」というのももちろんいる。
「『ひとり目のときは子育てを楽しんでいたけど、ふたり目は暴れん坊で大変』ということ、『3人育てて、3人目で初めて挫折を味わった』なんてこともあります。気質的・体質的に『難しい子』が出てきたケースですね」
また、親の「どうしよう」という不安が子どもに伝わって、「難しい子」になることもあるそう。
「難しさ」には、生まれつき持っている気質や、体質的な過敏さ、育て方や環境によって引き起こされる性質や、親の感じ方など、いろいろなパターンがある。
いずれにしろ、親が心配しすぎないこと、一人ひとりに根気よく向き合うことが大切なのかも。
(田幸和歌子+ノオト)