「その子が上に生まれるか、下に生まれるか、兄弟・姉妹構成によっても違ってきます」と言うのは、 『子どもの心のコーチング』(PHP研究所)著者で、NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事の菅原裕子さん。
「例えば、6歳の女の子が、おばあちゃんの家に行って突然さめざめと泣き、『あの家に生まれたくなかった』と言ったという話があります。おばあちゃんは驚きましたが、子どもの気質をよく知っているママは落ち着いていました。この子は感受性が豊かな一方で気持ちの起伏が激しく、悲劇に酔うタイプ。特に、ママが下の子に忙しいときで、気質と状況が重なり合って『難しい子』になってしまったようです」(菅原さん 以下同)
同じ気質の子でも、きょうだいの上に生まれるか、下か、真ん中かでもその性質が出るかどうかは異なるよう。特に下に生まれると、親にかわいがられ、甘やかされる傾向があるため、その気質は大きくなるまで出ないこともあるそうだ。
「持って生まれた気質について学ぶ『エニアグラム』では、同じ気質でも、健全な現れ方と不健全な現れ方があり、状況によってさまざまな現れ方があると考えます。同じ子どもの性格が、きょうだい関係や家庭環境によって、別人のようになるのです」
●子がどんな気質でも、大切なのは穏やかな環境作り
同じ気質でも、穏やかな環境で育てば「健全」に、難しい環境で育てば「不健全」になるそう。特に、持って生まれた気質をより難しくさせる原因に、両親の不仲も挙げられる。
「両親がいつもピリピリしていると、子どものちょっとした言動にイライラしたり、怒ったりしてしまいがち。すると、子どもは余計に過敏になってしまうこともあります」
とはいえ、難しい子の育児に疲れてしまうとき、つい「私の育て方がいけなかったのか」などと、自分を責めてしまいがちだが、もって生まれた気質はあるもの。
それに、きょうだい構成やさまざまな要因が影響して作り出されていることを理解しておく必要はある。
「親にとって、子どものラクな気質、難しい気質はあります。ただし、どんな気質でも、親が穏やかな環境で受け止めてうまく対応すれば、悪いところが出にくくなりますよ」
難しい子に対して親がすべきことは、自分を責めることではなく、穏やかな環境を作ること。子どもの声にじっと耳を傾け、気長につきあってみることが大切といえそうだ。
(田幸和歌子+ノオト)